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きんからかわ 展
−革と紙の東西交流−

ごあいさつ

"金唐革"、と聞いても何のことかわからない方も多いかもしれません。 "金唐革"とは、着色し、箔などをつけ、打ち出し文様を施した革製品のこと。 江戸時代に"紅毛渡来の革細工"というわけで、そう呼ばれるようになりました。 もとはといえば壁紙が普及する以前のヨーロッパで城館や教会などの壁面をきらびやかに飾っていたもの。 それが、日本に入ってきたのはよいものの、西洋流の壁を持たないわが国の建築空間のこと、 壁に貼るわけにはいきません。 かわりに小さく切り刻まれて、薬籠の表面をおおったり、袋物や小物に姿を変えることになります。幕末のハイカラ大名たちが、これで作られた煙草入れなどを腰差にして粋がっていたのでした。

ところがやがて、いかにも日本人的な着想といえますが、これを和紙で作って漆を塗り、革そっくりに仕立て上げるようになりました。 いわゆる擬革紙です。これを最初に考案したのが、かの平賀源内だったとか。さらに明治に入ってから、これに注目した、さるお雇いの外国人が輸出用の壁紙として製造することをすすめ、当初は大蔵省印刷局で、のちには民間企業でさかんに作られます。 そしてヨーロッパやアメリカで、ジャポネズリのひとつとして大いにもてはやされたのです。 バッキンガム宮殿にもこの日本製壁紙で飾られた部屋があったといわれます。

昭和になると機械化の波に押され、この手間ひまがかかる金唐革製造は衰退し、戦後には完全にビニールに取って代わられます。 しかし、ヨーロッパ生まれの革が日本にくると紙にかわり、それがまた再びヨーロッパに帰っていったという過程は、いろいろな意味でずいぶん興味深く思われます。

尚、本展に際しご協力をいただきました数多くの方々に、改めてあつく御礼申し上げます。

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会 期 (終 了)
ギャラリー1
1983年2月〜4月



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