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不思議・たのしい実験室展
―学研のふろく30年―

ごあいさつ

いっしょうけんめいコイルを巻いて作った電磁石、雪の結晶を初めて目の当たりにした小さな望遠鏡、輪ゴムを動力にしたボート、昆虫採集のセット・・・。 遠い日の記憶の中に、学研のふろくを夢中になって組み立て、不思議を発見して遊んだ子供時代を思い出す人は多いのではないでしょうか。
学研のふろくというのは、ご存知のように、学習研究社が発行している小学生向け科学雑誌『1〜6年の科学』にふろくで付いてくる教材のことです。
昭和38年にスタートしたこのふろくは、戦後生まれの子供たちにとって、科学という世界を知る、最も身近な道具でした。 今ほど物が豊かではなかった時代に、ふろくで付いてきた科学教材は、教材以上の意味を持つ貴重なオモチャでもありました。 工作を楽しみ、遊び、ある者は知識欲をかきたてられ、ある者は科学者を夢に見て・・・。 一時期は毎号600万部という驚異的な発行部数を誇った学研の『1〜6年の科学』は、「ふろくは学研、おまけはグリコ」といったフレーズがまさにピッタリなほどに、子供の戦後史の一側面を彩っていたといっても過言ではありません。


30年を経た今でも、学研のふろくは変わらず健在です (開催当時)。 しかし私たちの子供時代とは大きく様変わりしています。 何よりも驚くのは、ICを使ったラジオや電子楽器、太陽電池、磁性流体、形状記憶合金、バイオテクノロジーを駆使した生物教材、太陽光によって色が変わる新しいプラスティックなど、現在の科学の最端技術や新素材がいちはやく導入されていることです。

また、こうしたふろくのデザインに、秋岡芳夫氏をはじめとする第一線で活躍するインダストリアル・デザイナーたちが精力的に関わってきたという事実も見逃すことはできません。 子供の創造教育という観点からなされた様々な試みは、市場に出回る工業製品のデザインとはまた違った、デザインの考え方・方向性を描いてきました。 デザイナーたちがどんな願いを込めながら子供の夢に形を与えてきたのか、その足跡もあわせて考えてみたいと思います。
創刊から現在までのふろくの数々を、学習研究社の全面的な協力をいただいて数多く展示いたします。 30年分の科学教材を前に、科学の進歩と変容、子供の環境、時代の変化なども感じとっていただけるのではないでしょうか。

INAXギャラリー




図録・BOOKLET『 不思議・楽しい実験室
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ



会 期 (終 了)
ギャラリー名古屋
1989年11月〜1990年2月



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