浜田さんの作品は金属の彫刻です。
その作品の多くは直接的な「人のかたちのようなフォルム」をはじめ、全体から「人のかたちをしたうつわ」の輪郭が見えてくるもの、そして抽象形でありながら「人が入れそうなかたち」などがあります。甲冑のようなトルソー、棺、王冠、カプセル等などのモチーフは銅や鉄、アルミニウム、ステンレスを用いてつくられています。
甲冑のようなトルソーは「Imperfect Body」（不完全なボディ）と名づけられ、銅独特の黄褐色で、2cm幅の黒い鉄帯で碁盤の目状に縛られています。西洋の甲冑や古い時代の潜水服のような、クラシカルで重厚な趣ですが、胸とお腹に穿たれた穴にはガラスが嵌っています。穿たれた穴を通して見えるのは、ただ空間の向こう側だけではなく、失われた遠い時間のような気もしてきます。一方「Cage For Two」（囲われた場所）という作品は、未来的な素材の銀色に輝くアルミニウムの、ホバークラフトのようなかたちで、床に置かれます。二重のフレームをもったかたちの底一面には12個の穴が均等に穿たれ、設置されたアスファルト面や芝生を覗くことができます。

浜田さんの作品からは、人と社会の関係や、現代社会の閉塞感、束縛感が間接的に浮かび上がってきます。昨今様々なメディアが氾濫し、フィギュアやバーチャル・リアリティを見慣れた私達に、「彫刻」という名の立体作品がもっている本来的な力と可能性を示し、思索を促します。

■ アーティスト・トーク ■

スライドを見ながら制作のことなど
作家ご自身に語っていただきます
(終了しています)
12月1日(月) 18時〜19時
ギャラリーカフェ(会場同フロア)にて
入場無料、先着20名 (予約不要)