青山1丁目交差点のランドマークである新青山ビル西館2階にオープンして27年、8/23に念願のリニューアルオープンを果たした流水書房青山店をご紹介します。
地下鉄青山1丁目駅に直結している利便の良さで、近隣のビジネス街で働く人々にはお馴染みの書店なのですが、知らない人には「え？あそこに本屋なんてあったっけ？」と云われてしまうのが店長の悩みの種でした （私も慣れない頃は行く度に『どのルートが最短なのだろう？』とフロア案内図を見ていました）。 地下からはエレベータを。地上からは交差点側の階段をご利用になることをおすすめします。

リニュールのコンセプトは「若い女性のお客様をいかにお店に引き寄せるか」。 改装にあたって、店長は海を渡り、ニューヨークやサンフランシスコの個性的な書店を数多く見て回りました。 この甲斐あって、店の長い歴史も手伝ってか、やや暗かったそれまでの店の印象が一新されています。

先ず入口正面にはタテ5×ヨコ6のガラス什器が迎えてくれます。 フェアや話題書の棚です。 その傍らにはポストカード、前から置きたかったという絵本、遊具など。女性コミック等もこちらに置かれています。 ガラス扉を挟んで壁沿いに、以前から品揃えに定評のあるペーパーバックや海外マガジンコーナー、その向かいには女性雑誌がズラリ並んでいます。
棚は目線より低く押さえて見通しの良いレイアウトとし、表紙を見せる面陳をあちこちで多用しています。 その結果、実用書と地図ガイドを減らすなど在庫の2割以上を減少せざるを得ませんでしたが、リニューアル後1週間の売り上げは何と1.5倍となりました。 そして「以前は6：4で男性のお客様が多かったのが、今では半々」に。 云われてみれば、取材中も女性のお客様が目立ちました。 改装は大成功といったところでしょう。 「今までいかにロスが多かったか！」と、店の奥に設置されたマルセル・ブロイヤーのワシリー・チェアに腰をおろした店長氏は「してやったり」の笑みを浮かべていました。

INAX出版の本は店の左奥の芸術デザイン書の棚に置かれています（「実はあまり動きは良くない」そうです）。
97年春に田町店でBOOKLETフェアを試してもらい、ビルのテナントに広告代理店が入っている所為か好成績を上げました。 店長氏とのお付き合いはそれ以来となります。
今回の取材をお願いしたのはリニューアル・オープンの数日前、店長氏が汗だくで商品の棚詰めをしている真っ最中でした。 ガラス張りの明るい店の雰囲気と勢いを借り、ところ構わず「是非、取材を！」と頼み込み、その場でOKを戴きました。 田町店店長も兼任し、9/11に広尾にオープンした新店にも顔を出さねばならない忙しさの中、本当は公休の筈だった土曜日に、取材が実現しました。
店頭業務や外商のみならず、シーズン毎のバーゲン期にビルの地下で開催されるワゴンセールにも立つ店長氏。 改装中にはビルの共同廊下に書籍を並べて常連のお客様の注文に応えました。 どんなお忙しい時にも笑顔を（そして冗談をも）絶やさない、営業でお邪魔する度に色々と教えて下さる、まだまだ半人前の出版営業にとっても、力強い存在です。