隅田あい夏 展 - 絵画のなかにいる - 会期 : 2004年11月1日(月)〜11月25日(木) 休廊日 : 日祝日 |
■ アーティスト・トーク ■ |
隅田さんの作品は、ドラマティックなストーリー性のある油彩画です。 10数枚が組み合わされて展示され、一話が構成されます。1枚1枚を追うようにして物語が展開する、マンガのコマのようなつくりになっています。 「出られない男を覗く」という作品は、内向的で「引きこもり」とも見える男の室内での生活を俯瞰します。室内と男の輪郭は幾重かの線で描かれており、幾度も出ようとするのですが、描かれた輪郭線が生きもののように動きだし、それらが障害になって、押し潰されてしまいそうになります。掃除機で吸ったり、波動のようなラインを網のように編んでまとめたり、ドアを投げ飛ばしたりと戦いを繰り広げます。「気配」のアニメーションを観ているようです。 「女のなかにいる」では、40cm程度の大小のカンバスが約30点、ピンナップのように壁一面に散らばって展示されています。ダークブルーの色調の物憂げなロングヘアの女の顔、その隣に白いコートの後姿、その隣に深紅の塊の画面、その隣に手を取り合うロングコートの男女、雑踏、青いソファのある室内など、1点1点はシルエットもおぼろげに描かれた色彩の美しい作品なのですが、画面を追っていくと、メランコリックな哀しい気持ちになったり、怒りや激情や共感を覚えたりと、いつの間にか文字のない物語の中に惹き込まれていることに気づきます。 キャラクターの洒脱さ、クロスオーバーする世界観、どこか陰鬱だったり偏執的だったりする時代の空気などを、色彩とかたちと線で顕在化する作品からは、ミステリーやショート・ショートの味わいがあると同時に、現代の私達の感覚や無意識とも繋がりを感じることができます。 |
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