INAX PUBLICATION

INAX出版 営業日誌

INAX出版 の書籍が置いてある全国の書店をご紹介します(在庫の有無は書店にご確認下さい)。
このページは、INAX出版・営業担当者が毎月連載します


丸善丸の内本店

2005年01月 ご紹介

エントランス 2004年9月14日、東京の新しい"顔"となった丸の内オアゾ(OAZO)の一角に、1階から4階までフロア総面積1750坪、在庫120万冊、スタッフはカフェも含めて250〜260人という巨大書店が誕生しました。 開店前から話題を集めた丸善丸の内本店です。
東京駅丸の内北口のすぐ目の前、日本を代表する企業の本社が集中するビジネス街の一等地で、グランドオープンの日は関係者やマスコミの姿はもちろん、火曜日だというのに一般のお客様も大勢いらっしゃっていました。
記念セレモニーで割れたくす玉の紙ふぶきを踏みしめながら、オアゾのメインゲートをくぐると、殆どの人々が右側の丸善へと吸い込まれていきました。 この日だけで「おそらく東京ドームが溢れるほどの」のお客様が訪れ、売上は実に3400万円にのぼったといいます。
店内/1F 開店前日の朝にはテレビの生中継もあり、床に御影石が敷かれ、天井も高い、まるでデパートのような内装や、東京駅が見渡せる抜群のロケーションが紹介されていました。 その後も取材依頼がひっきりなしで、特に女性誌が多く、店内はファッション誌の撮影にも人気です。 取材時にも4階で撮影がありました。
その影響か訪れるお客様も、女性−特に20〜30代の方が(丸善としては)増えたそうです。 全国からさまざまな年齢層のお客様が訪れる立地ですが、平日の夜には映画か食事の前に立ち寄ったと思われるカップルが、土日は雰囲気が変わってお子様連れのファミリーが目立ちます。
開店当初は「書籍を台に積んだそばから売れてゆく」状態が続いていましたが、今はやっと落ち着いて、午前中は比較的空いています。

今回の取材では、3年前から開店準備に関わった副店長さんに話を伺いました。
各フロアは置いてある商品によってコンセプトが分けられ、壁、床、天井、什器はもちろん書店員用の作業台、販促展示パネルの枠に至るまで、同じ色調で構成されています。
先ず1階はビジネス書が中心でイメージはスピード、色はモダンな白系で統一されています。 2階は文芸、雑誌、ガイドなど趣味・実用書で、ベージュの柔らかい色合い、和書グランドフロアである3階は一気に空間が広くなります。 中央は教会の回廊のような空間で、落ち着いた茶系でまとめられ、書籍は一日で100万円は売り上げるという医学書、芸術、理工など専門書のほか、辞典や教育関連書、コミックと児童書もあります。 洋書がフロア1/3を占める4階は黒が基調です。 昔から定評のある万年筆や手帳など文具類も各ブースごとに取り揃えられ、その奥には全面ガラスの壁と天井高7メートルのゆったりしたギャラリーがあります。 こちらのフロアでは英会話に堪能なスタッフを揃えていて、最近は外国人スタッフも採用しました。
また60名ほど入る日経セミナールームが3階に、世界中の本に関する文献資料が揃った「本の図書館」が4階にあり、世界最古の現存印刷物「百万塔陀羅尼」まであるのには驚きました。
店内/3F
店内4F
KIDS イチから手掛けたとあってか、副店長さんはとても楽しそうに各フロアを案内して下さいました。 営業時には見落としがちな箇所も色々と教えて戴きました。
例えば、1階は天井高が4メートルもあるのですが、中ほどに吊るされたルーバー照明は下のフロアだけでなく上方の白い天井をも照らしていて、この仕掛けが奥行きのある空間を生み出しています。 4階の洋書コーナーでは蛍光灯を一切使用せず、間接照明とガラス窓からの自然光が柔らかい雰囲気を醸し出しています。 ダウンライトには微妙な角度がつけられ、書棚から本を取り出してページを開いた時にちゃんと手元を照らしてくれます。 商品のジャンル表示も昔の活版印刷を想起させる凝ったデザインで、鋳鉄をピカピカにはせずにワザとくすんだ風合いを表面に付けています。 店のあちこちに置かれたスチール製の脚立も特注品です。 踏み台を上がると重心がお椀のような前足2つに移動するようになっていてキッチリと安定します。 児童書のコーナーも、カラフルなカーペットが市松模様に敷かれ、置かれている低い椅子はもちろん特注。 周辺什器の角は怪我の無いように面取りされています。
文具類に到るまで全ての商品は、都内各所の競合店に通いつめ、リサーチを繰り返した末に決定されたそうです。 置ける数には限りがあるので、実のところ「これは競合店に譲っても、こちらの品揃えでは…」といった緩急も実は付けられています。
これほど周到に準備され、全国からお客様が集まり、売上も好調という大型店は、このバブル後の時期に久しぶりに目にしました。 パンフレットには、本を絵画や彫刻と同じ感動を与えてくれる芸術品として捉え、店内をゆったりと回遊しながら、一冊一冊、一行一句に出逢い、書籍と共に感動をも持ち帰れる書店を目指しているとあります。 ショップコンセプトは"Book Museum"−その名の通りの書店といえるでしょう。

それに一役かっているのがブックアドバイザーのネームプレートを付けたスタッフです。全フロアで17名配備され、機械(検索機)ではカバーしきれないお客様からの要望に応えます。
私も先日、入院中の知人を見舞う前に利用したのですが、先方が喜んでくれるディズニーランド関連雑誌とガイド本を買うことができました。 彼等は専任ではなく、棚も受け持っているのでかなり忙しいですが、刻々と商品が動く棚に常に触れていないと出来ない仕事でもあります。
建築書 書籍はレジを通ると同時に、店内20カ所に置かれた検索機に反映され、リアルな在庫状況を知らせます。 それにしても在庫120万冊とは膨大です。が、不思議と圧迫感がありません。 棚は緩やかなカーブを描いて見通しよく配置され、通路の間隔も広めです。 窓側の椅子に腰を下ろしてしまうと、そのまま長居をしてしまいそうです。 この居心地の良さは、決して"いれもの"が立派だからでなく、スタッフのサービスや熱意といったソフト面にこそあると思います。
営業時にカウンター前で担当を待っていると、必ずと云っていいほど一般のお客様と間違えられてスタッフに声をかけられます。 平台で使われているPOPは殆ど手書きで、「例え下手でもいいから気持ちがこもったものを」と指示してあるそうです。 取材時にも工夫を凝らした販促グッズを幾つ目にし、また1階入口右の大きなウィンドウ・ディプレイも社員が手掛けています。
「出来上がった空間は商品と溶け合ってうまい具合に間(ま)を生み出すのに成功しているが、書店はあまり”美人”過ぎてもとっつきにくくて宜しくない。多くのお客様がリピーターとなって下さるような理想の"Museum"となるには、良い意味でもう少しこなれた方が良いと思う」と副店長氏の締めくくりの言葉が印象的でした。
建築書 INAX出版の書籍は3階の建築書のコーナーに全点が置かれています。 開店1カ月後に刊行された『青木淳 JUN AOKI COMPLETE WORKS 1 1991-2004』は入荷したその日に9冊も売れ、後日「当店の驚異的売れ行き!」という手書きPOPを目にした時は嬉しかったです。
当社への開店準備品依頼を戴いたのは約3カ月前、建築以外のジャンルからも大量に発注されていて驚きましたが、それでも足りず、1カ月前には商品が収まった棚の前から担当者(他店からの応援組)にケータイで追加発注を戴いた時の事がつい昨日のようです。
そして取材終了後、副店長氏が「美味しいですよ」と勧めるオムハヤシ(早矢仕オムライス)を、東京駅を一望できる4階のMC Cafeで食べながら、日本橋店屋上で初めて食べた時の温かな味を懐かしく思い出しました。

丸善丸の内本店

東京都千代田区丸の内 1-6-4 (〒100-8203)
丸の内オアゾ ショップ&レストラン1F〜4F
TEL : 03-5288-8881
FAX : 03-5288-8992

営業時間 : 9時〜21時
(本の図書館のみ:10時〜19時)
1/4より通常営業中
休業日:元旦、2/20、オアゾ休業日に準ずる

丸善URL: http://www.maruzen.co.jp/


ご紹介書店 一覧
INAX出版 HOME CULTURE HOME

本ウェブサイトからの無断転載を禁じます
Copyright(C) INAX Corporation

文化活動へのご意見、ご感想、お問い合わせ等はこちら
E-mail: xbn@i2.inax.co.jp


ページのトップに戻る

INAX | mail:xbn@i2.inax.co.jp (件名・メールタイトルは必ずお書き添え願います ) |
Copyright(C) INAX Corporation All rights reserved. 本ウェブサイトからの無断転載を禁じます。