リブロ池袋パルコ店というよりはパルコブックセンターといった方がお馴染みかもしれません。 2000年にリブロブックスとパルコブックセンター、ロゴス(LOGOS)が同じ会社に統合され、昨年夏には店名やロゴ、店員のエプロンまで全て統一されました。 池袋でリブロといえば西武百貨店に隣接する大きな本店が有名ですが、ここパルコ店は約200坪と限られた店舗面積に、お客様のニーズに合わせたコンパクトな品揃えをしています。

お客様は20代の若い女性が中心です。 パルコでショッピングを楽しむお客様の年齢層と重複していますが、カルチャー＆スポーツと銘打った6階を境に上のフロアは男性の方が多くなるそうで、こちらの書店にもその影響が見られます。

通常、書店は文芸書に広くスペースを割きますが、こちらの店はそれほどでもなく、代わりに松尾スズキ＋宮藤官九郎のコーナーがあったり、レジの横にガシャポンがあったり、ピンバッチが売られていたり、ところどころにサブカル色を感じます。 ガシャポンは1回300円もするのに人気が高く、なかにはコレクターなのか3000円を両替してガシャガシャと10回連続でご利用になるお客様も。気が付くと売り切れて容器が空っぽになるシリーズもあったそうです。
このほか目についたのが、旧LOGOSの一角に積まれた写真集『しゃしん 捨身 写真』(巽プレス)。写真家本人が店に持ち込み、取り扱い店は都内でも少ないようです。

その写真集のコーナーがある店の奥は、赤茶色の棚に間接照明の落ち着いた雰囲気で、映画・音楽、写真集、デザイン・アート書などのビジュアル書が置かれています。 LOGOS時代から厚く揃えていたアート書や洋書・洋雑誌のコーナーも健在です。 INAX出版の書籍はBOOKLETのバックナンバーと、『10＋1』の新刊を中心に置いて戴いています。

吉祥寺店、渋谷店でもアート書を担当していたSさんに棚を見ながら、売れ筋などを伺いました。
若い女性に在庫をよく訊かれるのは色彩関係の本で、「油断するとすぐに棚がガタガタ(＝商品が売れて棚が隙間だらけ)に」。 このほか家具のカタログのような本、都内のインテリアショップを一冊にまとめたガイドブック、服飾ブランドやスタイリストが出したファッション系のもの、雑誌では『STUDIO VOICE』『Pen』などのバックナンバー、『ku:nel』『arne』『Lingkaran』といったスローライフ系も人気があります。
作家では会田誠が、岡本太郎、時代を遡って伊藤若沖の『動植綵絵』(藍風館)も根強いベストセラーです。 また蜷川実花の写真集がよく売れるので何点か平積みにしています。蜷川さんの作品も収録した当社刊『青木淳 JUN AOKI COMPLETE WORKS 1』は「店としては高い単価(4740円)なのでどうかな？と思っていたが、5冊以上は売れて今でも動いている」とのこと。実は私も同じ心配をしていたのでホッとしました。

去年のヒットは、タレントがテレビのトーク番組で紹介した『魔法の杖』(ソニー・マガジンズ)です。 特に新刊という訳ではなかったのに、放送翌日から問い合わせが殺到したそうです。奥付を見ると1年で12刷とあり、版元としてうらやましい限りです。 「ではヨン様とか韓流関連書はどうですか？」と訊ねると、「あまり動きはない。当店のお客様より年齢の高い方がお求めになるのだと思う」との推測でした。

Sさんは「表紙が綺麗な本が好きなので、つい贔屓して積んでしまう」そうです。 『Living Jewels: The Natural Design of Beetles (Art & Design)』という、その名の通り極彩色に輝くコガネムシがやカマキリなどの昆虫を集めたハードカバーは、期待通りによく売れたそうです。
「最近ではこれが面白いですよ」と取り上げたのが、ドーナッツ！シリーズ『マイボーゾウにのる』『マイボー旅立ちの詩』(パルコ出版)の2点。一見、北欧の絵本作家の本かな？と思わせる絵柄で、ほのぼのとした作風が人気のようです。