INAX PUBLICATION

INAX出版 営業日誌

INAX出版 の書籍が置いてある全国の書店をご紹介します(在庫の有無は書店にご確認下さい)。
このページは、INAX出版・営業担当者が毎月連載します


喜久屋書店宇都宮店

2005年12月 ご紹介
ラパーク外観

今年3月19日にオープンした喜久屋書店宇都宮店をご紹介します。
取材申込みの際、店長の石峰氏は「ウチなんかより、お隣の某大型書店さんの方が見栄えが良いんとちゃいますか」と謙遜されましたが、金沢、熊本の各店でお世話になり、売上スリップも欠かさず送って下さっているにも関わらず未だ一度もお会いしたことのなかった石峰店長に是非、とお願いしました。

宇都宮は人口45万人の北関東最大の都市で、乗降客数7万5000人のJR宇都宮駅より西に走る馬場通りの先、東武鉄道駅の周辺が主な中心地です。 百貨店、ホテル、県庁などが、二荒山神社を囲うように立地し、喜久屋書店のあるラパーク長崎屋も、神社の大鳥居の前に在ります。
店名を掲げた大きなディスプレイを横目にビルに入り、エスカレーターで5Fへ。 地区最大級のこちらのお店は6Fのコミックフロア(約200坪)とあわせて、950坪の広さと70万冊の在庫を誇ります。 喜久屋書店の特徴である緑色の背の高いスチール棚、その前には(他の一般書店でよく見かけるような)平台兼ストック引出しを設けずに棚数を1列でも多く並べていますが、通路は車椅子やベビーカーも悠々と通れる幅を確保しています。 数日で取り寄せられる品は抱えず、最適な商品を適数だけを置き、棚の中では効果的な面陳を行なえる余裕を持たせています。 また6Fには、アニメCDやDVD、画材やフィギュアもあり、こまごまとした書籍以外の商品を幅広く扱っているなぁと感心しました。

店内 店内 店内
店内には「書評コーナー」と文芸書や文庫など主なジャンルの「ベスト10」の棚が、かなり立派な什器で設けられています。 毎週のメンテナンスが大変なのですが、前に取材した金沢店(05年閉店)など石峰店長が在籍した店に見られる特徴です。 10月下旬のランキング上位はリリー・フランキーの『東京タワー』、『私の頭の中の消しゴム』、『下流社会』、『生協の白石さん』など。 私がつい「"白石さん"は意外な気がします」と申し上げると、「東京で売れる!とひとたび情報が流れると、必ず追っかけて売れるんです」と店長。 宇都宮は東北新幹線で東京まで1時間という通勤圏内でもあるので、「東京の書店で見た」とお求めになるお客様も多いとか。 かといって、新聞の書評に出たものが売れるとも限らず、「阿部野店から赴任した当初、関西では出てすぐに反応がある朝日新聞の書評が、宇都宮では意外に無い」と聞いてこちらもビックリ。 事前に「売れる」と店が見込んで仕入れても、東京での動きと比べて動き出すまでに3日くらいのタイムラグがあるそうです。
洋書コーナー 一般家電や服飾雑貨が中心の長崎屋のカラーを反映して、お客様の年齢層は高いようです。 来店は土日に集中し、休日は平日の3倍の数字があります。 意外に男女比は拮抗していて、4.5対5.5という出口調査の結果が出ています。 ただ「若い女性のお客様が非常に少ない」とのことで、例えば雑誌『non-no』は月に12-3冊しか売れないそうです。 「まさかパルコさんの前でビラを配る訳にもいかんし」と店長は笑います。
また、宇都宮はギョーザだけでなくJAZZの町としても定評があり、外国人ミュージシャンも多く在住しています。 意外に多いなと思った洋書のボリュームは、それを裏付けています。

このほか店の大きな特色として、5Fの「こども館」が挙げられます。 フロアの1/4を占めているこのコーナーには、絵本・児童書は勿論、ぬいぐるみや内外の玩具まで、デパートのおもちゃ売場かと見まごうような一角です。 中央スペースには靴を脱げるようにカーペットが敷かれ、この上で自由に遊べます。 教育熱心なお客様が多いようで、いわゆる「客単価」が非常に高く、数冊のまとめ買いや、高額な海外製木製玩具が良く売れます。 「昨日、来てくれたらぎょーさん居てましたのに」と店長に言われましたが、LaQという「大人も楽しめる知的ブロック」と銘打った玩具のイベントが無料で行なわれ、盛況だったとのこと。
その開催告知チラシは両面モノクロ印刷の手書きで、隅には「喜久屋書店お買物券が当たる!クロスワード」が。 訊けば、チラシ原稿は勿論、この26問の出題も店長の作だそうです。
「見て、おもろい本が好き」という店長は、「来て、おもろい書店。棚をみて、おもろい書店」を目指しています。 その為には「先ず店員がやってておもろないと、お客様にも楽しんで戴けない」と仰るのを聞いて、先月取材した書店さんを思い出しました。

6F店内 5F子ども館 5F子ども館
建築書コーナー 石峰店長が担当となった7月以降、こちらの店では専門書に力を入れており、当社刊行物も「競合店が置いてなかったから」と、BOOKLET、TenPlusOne、10+1series、ALBUMなど、ほぼ全点を揃えて戴きました。 近刊『小さな骨の動物園』も「これは面白い。売れると思う」と仰って下さり、お引き立てをお願いしました。
建築書の売れ筋を訊くと、有名建築家の名前には左右されず、手堅い実務書が中心で、プロ・ユーザーの方がついてらっしゃるようです。 反面、いわゆる「読み物」が弱く、商品は揃っているのですが、『新建築』などメジャーな建築雑誌も担当者の思うように動いてくれません。 「宇都宮大学の学生さんなど、もっと若い方々に足を運んで戴きたい」と言う店長の言は、私共の願いでもあります。

オープンから半年、最大の敵は「認知度」という、どこの新規店でも先ずは抱える問題です。 県庁や市役所などでも告知を行い、甲斐あってか昼休みの時間にはビジネス層のお客様が多いそうですが、長崎屋の上にこれだけの大型書店が在ると広く知られていないようで、その証拠の一つとして、「周辺で買えるようなものはウチは弱く、他店に在庫が無く、あぁ、そういえば長崎屋の上に書店が出来たっけなぁと思い出して来店されるお客様が多い」そうです。
取材中、店長は「とにかく一度でいいから足を運んで戴きたい」と何度も繰り返していました。 そして「これだけの品揃えが在る店だと覚えて戴いて、それからは一番最初に来て戴けるような店にしたい」と。 その為には品揃えだけでなく、他店との差異をどうはかっていくかがポイントで、仕掛けるイベントやフェアも重要です。 建築書コーナーでは今後「折り紙建築」のフェアを考えているそうです。

市内を回ってみて、市を取り巻く経済状況は他の地方都市と同様に厳しいようです。 駅周辺は空洞化が進み、企業ショールームやショッピングセンターは広い駐車場を求めて郊外へと移りつつあります。 その上、市内には今年になって300坪規模の大型書店が相次ぎ、いささか飽和状態にあり、厳しい「パイの奪い合い」です。
市の構造改革特区「宇都宮にぎわい特区」の第一号の摘要を受け、昨秋にオープンしたラパーク長崎屋は、駐車場180台分を確保しています。 何よりも目の前の馬場通りにはバスが頻繁に走っており、JR、私鉄各駅より100円圏内ですので、近隣の方は是非、足をお運び下さい。


喜久屋書店宇都宮店

〒320-0026
栃木県宇都宮市馬場通り 2-3-12
ラパーク長崎屋5・6F

TEL:028-614-5222
FAX:028-614-5224

営業時間:10:00〜21:00
休業日:無休(ラパーク長崎屋に準ずる)


ご紹介書店 一覧
INAX出版 HOME CULTURE HOME

本ウェブサイトからの無断転載を禁じます
Copyright(C) INAX Corporation

文化活動へのご意見、ご感想、お問い合わせ等はこちら
E-mail: xbn@i2.inax.co.jp

ページのトップに戻る

INAX