INAXギャラリー特別企画展10daysセレクション −予兆のかたち 8− 成清美朝 展
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成清美朝(なりきよ みさ)さんは泰西名画をモノトーンのパステル画で模写したように描きます。ただしパステルで描くのは線や点でなく昆虫の蟻です。大きさ5@ほどの何十万という蟻の大群が、ボッティチェルリのビーナス誕生や、ミケランジェロの聖家族、スルバランの卓上静物画をかたちづくっています。端正で華麗な模写だと思って近づくと、たちまち夥しい蟻の群れに気づきます。ビッチリと隙間なく蠢くものへの全身が泡立つような感覚。瞬時に名画への想いは雲散し、もじりか、本歌とりか、策略かと意図を考える前に、思わず笑ってしまい、名画はぐっと身近に思えてきます。さまざまな線描が蟻の這った跡だったという小粋なユーモア。作家自身が蟻となってなぞっていく根気と情熱。おおらかなエネルギーを感じさせます。 今展の新作では、鎌倉時代の「九相詩絵巻」の1点がモチーフに選ばれます。死んで肉体が滅び、土に返って行く様を九場面に分けて描いたもので、犬や鳥に齧られる残酷さ、腐敗ガスで膨らみ、白骨化する惨たらしさがリアルなテーマです。蟻で描かれた成清さんの九相詩は、一瞬死というテーマと蠢く蟻への嫌悪感の二つの重さを感じさせますが、蟻の退場によってすべてが砂を払うように終ってしまう無常とすがすがしさを感じさせるユニークな作品です。 |
St.Child〜聖アンナと聖母子より〜
(左)The collaboration 1. 2006年 掛け軸 水性ペンでドローイング
(右)The collaboration 2. 2006年 掛け軸 水性ペンでドローイング
The collaboration 1.(部分)
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