福嶋敬恭 展 -MIND GARDEN-
photo:「MIND OF UNIVERSE」 ブロンズ 24.5×19.5×h15cm |
福嶋敬恭は1960年代から活躍する日本の代表的な彫刻家で、ミニマルで鮮やかな色彩の研ぎ澄まされた幾何学形態が美しい、時代を象徴する作品を数多く制作してきました。1982年にはINAXギャラリーでも個展を開催しています。 2005年に京都市立芸術大学教授を退任しましたが、続けて宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究「宇宙と芸術について」を行い、有人飛行(宇宙環境)における人の心の変容をテーマに制作を行なっています。 無重力という宇宙空間におかれた人間の感覚や感性はどのような変化をするのか。暗黒と言われる宇宙空間を通して見る地球などの視覚的な体験は人の心にどのような影響を及ぼすのか。月面に降り立ち、地球に帰還してから宗教へ傾いた宇宙飛行士の話は有名ですが、宇宙開発の現在は、宇宙飛行士のみならず人の心の問題が重要な研究課題となってきているようです。 JAXAとの共同研究の中での福嶋の提案では、宇宙での人間の心を深く知る為の実験「kokoro Project」を通して、「無次元ドローイング」、「楕円形の冥想空間」、地球の自然と文化の重要さを意識する「宇宙茶会」など、水の惑星地球や日本文化の洗練されたかたちと色彩への旅愁に満ちています。 最近の作品には、2002年の大阪国立国際美術館で開催された個展「こころの中のこころ」展の会場全体をつかった大規模なインスタレーションがあります。「MIND GARDEN」と名づけられたこの作品は、夜光塗料を塗った大規模な美しい9枚のキャンバスで囲われた広場を形成し、点灯時と消灯時で奥行きが変わって見え、またその中の「MIND PASS」という一枚は実際にトンネル状になっていて、蛍光の黄緑色に光る長いトンネルを通ると別の展示室に出てしまうというドラマティックなものでした。 今展では、青銅の楕円体の彫刻「MIND OF UNIVERSE」など数点が出現します。 これは体験型の作品で、操作することによって音が生まれ、それらの音が共鳴してあたかも教会の鐘が幾重にも鳴り響いているように増幅された複雑な音となります。あるいは草原でホーミーが響き渡るような雄大さ、清清しい音で、人の遠い記憶の底から響いてくるような懐かしさを感じます。 会期中は、観る人それぞれが操作をして音に共鳴、共振し、「知覚の深いところで心と交響し合う、和音とも声ともつかないメッセージ」を受け取って頂けたらと思います。
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