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レプリカ 解説 /Words

立体資料 ---- 複製(型取り複製)
立体資料 ---- 例)メソポタミアの壷を再現する
立体資料 ---- 模造(見取り模造)
立体資料 ---- 例1)脱活乾漆技法の復活
立体資料 ---- 例2)6世紀のガラス碗を復原する
平面資料 ---- 印刷
立体資料 ---- 例)コロタイプ印刷
(注)レプリカは、専門家のあいだでは型取り複製の立体物を指すが、ここでは平面資料の複製品も含んでいる。

レプリカ Which is which?
立体複製
「メソポタミアの扁壷」の複製と原品(写真)

右の写真のどちらかが樹脂製の複製品です。
どちらがほんもの?どこが違うのでしょうか?

複製の製作過程をみながら探してみましょう。



レプリカ 1:壺本体を錫箔で覆う。吹けば舞うような2〜3ミクロンという薄さの錫箔を、柔らかい筆を使って張り付けていく。筆先が触れるかすかな音に耳をすまし、全神経を集中して器面の状態を確かめながらの作業。 レプリカ 2:壺を形に添った台にのせ固定させる。型を壺の前面、背面、口の部分の三つに分割するため、側面にアクリル板を取り付ける。


レプリカ 3:錫箔に覆われた壺にシリコン樹脂を数回に分けて、筆で塗り重ねる。 レプリカ 4:樹脂の上に補強材としてガーゼを張り込み、さらに樹脂を塗る。
レプリカ 5:シリコン樹脂が固まる(内型)と、その上に石膏と補強材を塗布。裏面も同様にする。




レプリカ 6:型から本体をはずした(脱型)後、内型の内部にポリエステル樹脂を塗る。樹脂には、土製品ならベージュ、青銅器なら青緑色といった具合に、実物に近い色のトナーを事前に混ぜておく。
レプリカ 7:補強材としてグラスファイバーの布を張り込む。 レプリカ 8:型を合わせ、万力でおさえて樹脂の固まるのを待つ。
レプリカ 9:型をはずし、樹脂製の壺を取り出す。





レプリカ 10:型の接合によってできたバリを除き、実物と見比べながら細部を彫り込んでいく。凹凸が深く、しかももろくて壊れやすい縄文土器のようなものは型取りを甘くして、彫刻の手技によって正確な形に仕上げる。

彩色の工程

レプリカ

彩色前の下準備:

型取り成形が完成した壺。ここから彩色担当者によって壺の化粧が始まる。化粧前の下地クリームのように、絵の具の密着をよくする樹脂を塗る。

レプリカ

土色のベースづくり

土器の色は、材料の土が採取された場所、焼成温度やその技法によって千差万別。実物の土色を入念に検討して、下地となる濃い茶色を塗る。

レプリカ

表面の土色の完成

下地の上にさらに絵の具を薄く塗り重ねながら、実物の土器と同じ土色を再現する。そのあとに石粒などの細かい部分を描き込んでいく。

ほんものはどっち???
→写真の右がレプリカ、左がほんものでした。
ポイント:見てわからなくても、樹脂製なので持つと非常に軽い。




原品所蔵=常滑市
収蔵=世界のタイル博物館
複製製作、写真提供=株式会社 京都科学


脱活乾漆の復活

レプリカ

レプリカ

レプリカ

唐(中国)全盛期の仏教美術が日本にもたらされた天平時代。
この時期に優れた仏像彫刻が盛んにつくられ、そこで用いられたのが中国伝来の「脱活乾漆」の技法。唐招提寺の鑑真和上像などの天平時代の代表作はすべてこの技法でつくられている。
しかし、平安時代以降、木彫像が主流になるにつれて乾漆像はつくられなくなり、乾漆技法は完全に途絶えてしまった。
その技術を復活させたのが、1999年に香川県歴史博物館が復原した「聖観音菩薩坐像」(本展では展示していない)だった。 
 
「脱活乾漆」とは、原型を粘土でつくり、その上に麻布を漆で塗り重ねて固め、乾燥後に中の土をかき出し、木の心棒を入れて固定し、さらに表面に漆を塗って細部を仕上げていく技法。
漆と麻布でつくった「張り子」のようなもので、持つとかなり軽い。

(写真:脱活乾漆像の制作途中のもの、解説、復原に使われた道具や実験資料の展示)



講演会「仏像づくりのミステリー 幻の技法・脱乾乾漆造を追う」


6世紀のガラス碗を復原する

レプリカ

レプリカ

江戸時代に安閑陵古墳(大阪府)で土砂崩れがあったときに出土したとされる、6世紀のカットガラス碗。この復原は予想外に難航した。
まずガラス碗の形成。ぼったりとしたガラスの厚み、碗の口のところの丸み、色合い、内部の気泡の雰囲気などが、なかなかうまく出ない。
加えて、前面に施されている円形の切子装飾。切子は底から上縁部に向かって、まず底中央に大きな円形が1個、1段目に円形が7個、2・3段目に亀甲形(六角形)がそれぞれ18個、4・5段目に円形がそれぞれ18個、合計80個ある。亀甲形は、おそらく隣り合う円形が重なり合ってできたのだろう。問題となったのは、切子を削る順番。上から、あるいは下から順に削っていけばいいと考えていたが、それでは実物の切子の形と合わなくなる。さらに円形の大きさも微妙に異なっており、削るローラーもその径に合わせてつくる必要があった。

工程
@ 炉から取り出したガラスを吹き、おおまかな形をつくる。
A 土の雌型の中に入れ、吹き込んで成型。
B 出来上がったガラス碗に、切子の位置を書き込む。
C ローラーをグラインダーに装着し、切子を削る。
D 粗くカットされた切子部分をさらに磨いて仕上げる。
(写真:会場 ガラス碗のブース)


コロタイプ印刷

レプリカ

レプリカ

レプリカ

原本を原寸大で撮影し、撮影したフィルムがそのまま版になるコロタイプ印刷は、原本のもつデータを正確に写しとり、さらには連続諧調の表現によって色彩の微妙なニュアンスや筆線の繊細さを原本同様に再現できる。
1枚1枚丹念に手刷りするアナログ技術のため、現在、世界でも本格的にコロタイプ印刷を続けているのは創業120年の歴史を持つ京都の便利堂のみ。
写真のカラー化に対応して、多色刷りの技術を独自に開発し、国宝をはじめとする貴重な美術品の複製製作を一手に担っている。
会場では、「鳥獣人物戯画巻」の複製制作の工程を紹介している。

講演会「国宝を復元するコロタイプ印刷−技術と表現−」

<主な作業工程>
【調 査】原本の寸法、色数、材質、形状などを調査し、工程設計を立てる。
【撮 影】大型カメラによる原寸大撮影。レンズには光と色の三原色を利用した四色のフィルター(紫・緑・赤・黄)を順番に装着し、原本にある色彩を、撮影の時点でおおよそ色分しておく。
【製 版】撮影した一色ごとのフィルムに、レタッチ(マスキング、塗り込みなど)を施す。原本の再現に必要な色数分の版をつくる。
【刷 版】厚さ10mmの磨りガラスの表面にゼラチンを主体とした感光剤を塗布し、その上にネガフィルムを密着させ、紫外線で焼き付ける。
【色校正】本刷りの前に、試し刷りを行い原本と照合する。
【印 刷】機械に一枚一枚手差しで給紙し、色の乗り具合や調子をみながら一色刷り終るごとに版を交換する。

(写真)会場 工程写真、道具類


関連リンク

リンク
株式会社便利堂
http://www.benrido.co.jp/

株式会社京都科学
http://www.kyotokagaku.co.jp/

大阪府立近つ飛鳥博物館
http://www.mediajoy.com/chikatsu/index_j.html

安城市歴史博物館
http://www.katch.ne.jp/~anjomuse/

国立歴史民俗博物館
http://www.rekihaku.ac.jp/

 
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