1999年 5月 ご紹介

JR大阪駅は地下鉄と私鉄が集まる関西一のビッグターミナルです。駅南側、梅田地下街は地上からはとても想像が及ばないほどの賑わいをみせ、縦横に走る地下通路を駆使して今日もエネルギッシュに人々が通ります。
その駅前、御堂筋に面して8階建ての旭屋書店本店が在ります。大阪・東京を中心に国内に24店舗、香港・ロサンゼルス等海外に10店舗を構える旭屋書店 本店 の中心となります。

午前10時の開店直後から次々とお客様が来店されます。6Fの建築書棚の前でもビジネススーツや作業服姿のお客様が、最新の建築雑誌に目を通したり、通路に座り込んで技術書を開いたり、または目的の本を手にさっとレジに向かわれ足早に出ていかれます。専門書フロアには珍しいこの活況は、建築書ご担当の日頃からお客様のニーズに応えたきめの細かい品揃えが、「ここに来れば欲しい本が手に入る」という確固たる信頼を獲得しているからといえましょう。

社寺の多い関西ならではの木造建築様式・大工仕事など和建築関連書、実務者向けの法規・試験問題集、大学工学部の講座テキストなど幅広い分野の書籍を、いつも切らさず、古くても入手可能なものはなるべく揃え、復刻版のように資料的なものにも目配りをしながら、日々書籍を集められているそうです。その広範な知識に、時には研究課題の書籍リストを持って本を探しにくる大学生にアドヴァイスを求められることもあると伺いました。

INAX出版の書籍では、BOOKLETシリーズの和風建築をテーマにしたものや、ALBUM の民家の旅シリーズ等が良く売れているようです。また、10＋1(Ten Plus One)シリーズがこれからの建築の考え方を探し求めている大学生などが参考にしているのでは…というお話でした。

質・量・価格ともにシビアな大阪で、古くからのお客様を尚引き付け、次世代の新しい感覚のお客様も獲得し続ける旭屋書店本店のアクティブな書棚で、これからを乗り切る鍵が見つかりそうです。