1999年11月 ご紹介

本の街・神保町の商店街「すずらん通り」の中ほどに、今回ご紹介する 書肆(しょし)アクセス があります。

並木の陰に隠れてしまいそうなこじんまりとした佇まいですが、店内に一歩入れば、その独特の書棚に圧倒されます。しかし、店をきりもりする数人のスタッフの人柄そのままに、店内の雰囲気は温かく、和やかです。

こちらの店の大きな特徴は、主に地方の出版社の書籍を専門的に扱っていることです。
日本国内・北から南まで、郷土史、民俗誌から農業史など、各地域にまつわるあらゆる書籍が集められ、北海道、東北、関東・・・沖縄と地域ごとの表示が、店の奥まで並んでいます。
当地に赴かなければ手に入らない書籍も多く、北海道、沖縄関係の本が良く売れるそうです。

お客様は、学校の先生や研究者が中心で、店長の畠中さんは「逆にお客様の方が詳しいです」と謙遜されます。

資料的価値の高い大型本や、難しそうな専門書ばかりではなく、つい手にとってしまう面白いタイトルの本も背をみせていますし、東京の「谷根千」や福岡の「中州」といった地域ミニコミ誌、インディーズ雑誌も100点近く置かれています。
かと思えば、マニアックな本が多い「武道」の棚や、宮澤賢治や太宰治といった文学作家のコーナーもあります。

このように個性的な書籍がギッシリと詰まった店の魅力にひかれて、年配の男性が目立つ中に、若者の姿もみられます。

また、店の近くは「神田村」と呼ばれる出版関係の会社が密集している地区で、業界の人も現われます。但し、地区再開発を控えて多くの会社が転居してしまい、「最近は少なくなってしまった」との残念そうな声もきかれました。

「多くの方にこの街を訪れてもらえれば」と、「神保町路地裏MAP」なるフリーペーパーを、近所の書店と共同で昨年から作っています。
一般書店や古書店から喫茶店やレストランまで、一店ごとに紹介されていて情報満載です。レジ脇に置かれ、無料でもらえます。

このほかに、月1回・年12回の割合で、ジャンル別新刊案内や、おススメの本の書評などが掲載された、地方小出版の情報誌「アクセス」(有料)も発行しています。

INAX出版との取引は古く、10年近くになります。BOOKLETや、民家シリーズも含めALBUMなどがほぼ全点揃っていおり、特にBOOKLETは在庫僅少の貴重なものも数点あります。

遠方からの注文にも応え地方発送(送料は実費別途)もしていますが、「できれば是非一度、足を運んで戴きたい。小さな書店ですが、きっと何か面白い一冊に出逢えると思います」とスタッフからのメッセージです。