gallery

中国のタイル展

ごあいさつ

高度なやきもの技術と洗練された製品で世界中に名を馳せている中国。 しかし「中国のタイル」ときいて、「中国にタイルなんてあったっけ」と思う方は多いはずです。
「装飾や保護を目的に、壁や床を覆うやきもの」をタイルと呼んでいいなら、中国にもタイルはありました。 低温で焼いた煉瓦で、磚(せん)と呼ばれ、墓室の構造材としての使用が最も古く、時代が下ると城壁や家屋の構築にも使われるようになり、また床敷きとして、文様を刻んで壁装材としても用いられました。 西域から仏教が伝来し、仏教建築が盛んになると磚塔がつくられ、その壁面には、三尊仏、五尊仏などを陽刻した「磚仏」が隙間なく貼られました。

今回の展示は、秦の始皇帝陵に立ち並ぶ兵馬傭の足元に敷かれ、漢の家々や墓を飾り、経典の宝庫、敦煌 莫高窟の床を覆い、また万里の長城を築いた磚を中心に、新石器時代から清朝にまで及ぶ中国陶磁史を、代表的な作例をもとに展開します。
日本のタイル」 から始まったINAXギャラリーのタイル・シリーズは、 「ヴィクトリアン・タイル」 「オランダ・タイル」 「マジョリカ・タイル」 「オリエントのやきもの」 「イスラームのタイル」へと続き、今回の「中国のタイル」で最終回を迎えます。 今回の展示品もすべて、このシリーズの監修/タイル研究家・山本正之氏が中国に赴き、ご自身の手で収集されたものばかりです。

磚のルーツが、はるか以前のオリエントの地にあったこと。オリエントのやきもの文化は、やがてイスラームの燦然と輝くタイル史を築く土台となり、それはスペインへ、さらにマジョリカ島を経由してオランダへイギリスへと伝わったこと。近代装飾タイルはイギリスから明治期の日本に導入されたこと。そして、飛鳥の時代の「日本のタイル」は朝鮮半島を経由して中国大陸からきたものだったことが、山本さんの目を通してわかってきました。 これまでのタイル展の連環は、悠久の陶磁史そのままといえるかも知れません。

監修/山本正之

INAXギャラリー


*磚(せん)は、通常「いしへん」と「つちへん」の両方が使われます。
INAXでは「つちへん」を使っていますが、ホームページ上の制約から「磚」を使いました。




本ウェブサイトからの無断転載を禁じます




図録・BOOKLET『 中国のタイル
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ

関連サイト 世界のタイル博物館 (愛知県常滑市)
山本正之氏の内外のタイルコレクションを収蔵しています




会 期 ( 終 了 )
ギャラリー1 ギャラリー大阪
1994年9月〜11月 1994年12月〜95年1月



INAXギャラリー・ その他のタイル企画展



INAXギャラリー 過去の展覧会記録




INAX CULTURE INFORMATION
http://www.inax.co.jp/Culture/culture.html

ギャラリーへのご意見、ご感想、お問い合わせ等はこちら
E-mail:xbn@i2.inax.co.jp

本ウェブサイトからの無断転載を禁じます

symbol
 Copyright(C) INAX Corporation
 http://www.inax.co.jp