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花鳥風月
京からかみ

ごあいさつ

「襖紙のくすんだ金色は、落ち着きのある柔らかな感じを出し、壁紙のけばけばしさとは格段の相違がある」 桂離宮の部屋部屋を巡ったブルーノ・タウトは、こういって、「趣味が洗練の極致に達し、しかもその表現が極度に控え目な」それらの優雅なたたずまいを手離しで讃えています。
ここにいう「金色模様の襖紙」が、いわゆる「京からかみ」です。 版木ときらら(雲母)などを交えたさまざまな顔料を使い、越前和紙に手摺りした一種の版画。「からかみ」とは元来唐から渡ってきた模様紙のことですが、それがいつしか(おそらく室町時代から)襖紙に用いられるようになったのです。

こうして桂離宮をはじめ、修学院、京都御所など、そして神社仏閣、茶道や華道の家元、二条城などの武家、三井家などの商家、さらに江戸時代には一般民衆の家々までをも、それぞれ好みの模様によるからかみが飾ってきたのでした。
しかし、幕末には京都で十数件を数えたといわれるからかみ師も、今日ではわずかに、11代、300年の歴史をもつ老舗、「唐長」こと千田家一軒を残すのみとなり、ホンモノの京からかみが私たちの眼にふれる機会もほとんどなくなってしまいました。

今展では、江戸時代からの版木二百数十点とともに、その繊細な技術をひとり守り伝えてきた千田家の全面的なご協力のもとに、この日本建築の名脇役、室内空間の雰囲気づくりに控えめながら重要な役割をになってきた「京からかみ」をご紹介いたしました。

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図録・BOOKLET『 京からかみ』(在庫切れ)
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ



会 期(終 了)
ギャラリー1 ギャラリー大阪
1982年10月〜12月 1985年12月〜1986年1月



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