瓦
−日本の町並みをつくるもの−
ごあいさつ 本展では「瓦展」をご覧いただきます。題して、−日本の町並みをつくるもの−。 「いらかの波と雲の波…」とうたにも歌われ、飛鳥の昔から、千数百年にわたって、お寺やお城の屋根を飾ってきたのは瓦でした。 たち並ぶ民家の屋根に、まさに「波」のようにやわらかなリズムを与え、町並みにうるおいある表情をつくってきたのは瓦でした。―控えめに、黒子のように。 ところがいま、その「いらかの波」は、はるかな望郷の世界に遠のいてしまったようにも思われます。たとえば東京という大都市に、ポツリポツリの「いらかの波」がどこにあるというのでしょうか。 いつも見慣れていると思っていたその瓦が、ふと気がつくと、私たちの周囲から追いはらわれているのです。 こうして、瓦にとっての新しい受難が、その存在そのものをさえ脅かす近代の病いが、ひそかに進行しているのです。 この度の展示では、日本の代表的な瓦産地である三州(愛知)、石川(島根)、淡路、沖縄からやってきた瓦を、この場で職人さんに葺いてもらい、小さな屋根をつくってみました。 屋根の仕舞いは、どんな風になっているか、工人たちはどんな道具で、あるいは方法で、瓦をつくり、屋根を葺いてきたのか、わかりやすくご覧に入れます。 また、古代瓦の紋様、古代から現代までの瓦の移りかわり、現在使われている瓦の種類、全国各地の屋根瓦のある風景写真も併せて展示致しました。 日本の原風景をかたちづくってきた瓦、屋根材としてもすぐれ、1枚だけとりだしてみてもなんのへんてつもないそれが、並べられて面をつくるとき、どうしてあのようなやさしい美しさをつくるのでしょう。 そのヒミツの一端にでもふれていただければ、さらに又、この展示が、都市や街の、眼には見えない、それでいてすさまじい変貌について、あらためて考えるきっかけにでもなれば幸いです。 なお、本展開催にあたり、ご協力いただきました関係者各位に厚く御礼申し上げます。 INAXギャラリー |
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図録・BOOKLET『
瓦』
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ |
ギャラリー1 |
1986年3月〜5月 |
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