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秋山祐徳太子展
−そのトタンに−

ごあいさつ

大きな体に人なつっこいまあるい目。愛用の山高帽子を冠れば一見チャップリン。秋山さんは早口のリズミカルな東京弁でまわりの人たちをひきつけます。 INAXギャラリー大阪、1986年11月の企画は、そんなコミカルな秋山祐徳太子さんのブリキの彫刻−そのトタンに−をご覧いただきました。 「1粒300メートル」をキャッチフレーズにグリコのランニング姿で町を駆けぬけた「動くポップ・アート」や、1970年、75年の2度の東京都知事選立候補での「政治のポップ・アート化」と称した一連のパフォーマンスは多くの人々の話題となりました。また、小田原の池をモチーフにしたブリキの彫刻「カマボコ富士」(カマボコの上に富士山をのせたもの)の制作など、それらすべての芸術行為の基本はいつも「ポップ・キッチュの精神」との自弁です。どこにでもある素材をつかいながら、高貴な人物たちを生み出していく秋山さんの諧謔の精神には江戸っ子のいさぎよさと、さわやかさが感じられます。

秋山さんは、いつもブリキ(正しくはトタン板)を素材に作品をつくり続けています。裁断した薄い板をハンダでつなぎ合わせ、曲げる、へこませるなどして形をつくり、そこを同じハンダで塗りつぶしたり、あるいは塩酸でマチエールを出すなど、技法はユニーク。そして、これらの制作過程すべてがパフォーマンスとのこと。 昔なじみのなつかしいブリキの素材は、とんがり帽子や山高帽子のほっそりした像に生まれ変わります。首をかしげ、うつむいている姿は滑稽にも何かを嘲笑しているようにも見えますが、なぜか哀愁を帯びた優しさがにじみ出ています。そして、ひとたびその像に光りがあてられると、清冽で厳粛な空気がただようのも不思議です。

この展覧会のためにつくられた数多くの新作を加えたこれらのブリキの像たち、それは、ひょっとすると秋山さん自身なのかもしれません。

INAXギャラリー大阪



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注/展覧会図録は刊行していません




会 期 (終 了)
ギャラリー大阪
1986年11月



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