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テレビ展
−We are TV's children−

ごあいさつ

We are TV's children ―私たちはテレビっ子、です。 街頭テレビで力道山とシャープ兄弟の熱戦を手に汗して食い入るように見つめた世代も、生まれた時にすでにTVがあって怪獣番組を見ながら育った世代も、みんなテレビっ子。 そんなふうに言い切ってもいいほどに、TVは私たちの生活のすみずみにまで浸透しています。
TVは私たちの生活を、意識を、大きく変えてきました。 TVの影響は強大なものでした。さて、テレビっ子の私たちにとって、最近のTV、TVのデザインが、どういう様相をみせているかということは、大変気になるところです。
デザインについていえば、昔に比べて画面がグンと大きくなり、薄くなりました。 過剰なデザインを脱ぎ捨てて、限りなくブラウン管の形に近づいています。 シャープでクールな四角いフォルム、ハイテク感覚のブラックボディ ―最近のテレビはどれもみな無機的なイメージを漂わせています。
液晶やプラズマといった技術開発によって、薄い平板な壁かけTVも可能になりました。 TVはますます壁化、装置化、空間化の方向に向いつつあります。 そこはもう、デザインが関与する余地はなくなるのではないか。 ただ単に四角い窓になって、デザインはゼロ度に近づくのではないか ―そんな予感すらします。

ところで、TVが情報メディアとして果たしてきた役割に目を向けてみると、そこには次々と姿を変えて登場するデザイン (とりわけインダストリアル・デザイン) が万華鏡のごとくに映しだされていたことに気がつきます。
『パパは何でも知っている』『名犬ラッシー』で垣間見た、巨大な冷蔵庫やジーンズに象徴されるアメリカのライフスタイルやデザイン。 矢つぎばやに流されるCFの、家電製品、クルマ、家具、ファッション、住宅・・・・・といったおびただしい消費財のデザイン。 TVを通して私たちは常に新しいデザインに目覚め、欲望を刺激され、その欲望が充足されるやいなや、また新たなデザインを呈示される。 モノへの欲望、デザインへの欲求は、TVが送り出す情報によって終わりのないループを描き続けてきたのです。
ある意味では、こうしたTVの構造が、インダストリアル・デザインの世界を進化させていく原動力になってきたともいえます。 即ち、TVは、デザイン進化の〈増幅装置〉という役割をも果たしてきたのです。

TVそのものは、壁化という宿命の中で、自らの形を消していくデザイン・ゼロ度の世界へ突き進む。 一方では、デザインを一層、進化・拡大させる情報を送り続ける。こうした相反する二面性の上に、TVは存在しているといえないでしょうか。

TVにとってデザインとは何か ―という今回のテーマは、こうした二面性の背後を探り、複雑に絡みあったモノとデザインの関係を解きほぐす作業でもあります。 TVだけに限らず、広くインダストリアル・デザインを考えていく上で、たいへん興味深い示唆を与えてくれるのではないでしょうか。

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図録・BOOKLET『 テレビ』(在庫切れ)
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ




会 期 (終 了)
ギャラリー名古屋
1988年4月〜6月


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