ごあいさつ

私たちは情報の90％を目から得ているといわれ、目のレンズの精巧さはよく知られています。 しかし肉眼でみえる範囲は限られており、微細なものや遠くのもの、例えば分子や宇宙の存在 は、レンズを通して知ることができました。日常の眼鏡、写真はもちろん、コピー機、ファク シミリなどレンズの用途は広く、LSI用ステッパー製造など、最先端技術にも欠かせぬ存在で す。今回はこのレンズを取り上げます。
レンズの歴史は紀元前のエジプトに遡ります。装飾用ガラス玉が物を大きくみせることから、 拡大器（虫眼鏡）として使われ、13Cに老人用眼鏡、15Cに近視用眼鏡が製作されました。17C 後半に望遠鏡、次いで顕微鏡が生まれ、はじめは玩具として、次第に科学の道具として発達し てきたのです。

様々な観測結果が人々にもたらした驚きはどれほどだったでしょう。月表面は凸凹し、太陽に は黒点があり、植物細胞やバクテリアが発見されました。宇宙、動・植物などあらゆるものへ の認識を一変させたに違いありません。それまでみえなかったものがみえた時の驚きは、私達 も一人ひとりが体験しています。幼い時の虫めがね、祖父母の眼鏡、展望台の望遠鏡、実験室 の顕微鏡･･･別の世界をのぞきみた興奮を今も思い出します。 玩具から科学の先端機器へ、その過程もさることながら、レンズという透明な存在に目を向け、 「みる」ことの驚きと喜びを感じていただければ幸いです。

なお、今回の展示およびブックレットの制作にあたっては、各方面より多大なご協力を賜りま した。この場をかりて御礼申し上げます。

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