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ノーマライゼイションへのデザイン展
―多様な人々への多様なデザイン―

ごあいさつ

21世紀を迎えるころには国民の5人に1人が、2020年には4人に1人が老人だとされています。 高齢化社会は確実に進行し、老いは誰でもが否応なく迎えねばならないものです。 身体の機能が衰退し、あるいは病院のベッドに横たわることになったとき、そこで向き合う道具や環境は一体どのようなものでしょ うか。
高齢化の問題だけではありません。いつふりかかるかわからない突然の事故による身体機能の喪失。 ハンディキャップを持ったとき、日常の道具は、また違った意味合いを帯びてきます。 車椅子、医療用ベッド、さまざまな補助道具など、ハンディキャップを持った人達を対象としていたテクニカル・エイドが膨張するシルバーへと応用され、次々と商品化されています。 「思いやりのある」「やさしい」といったキャッチフレーズの商品群が、果たして本当に使う立場にたってつくられているのでしょうか。

たとえば車椅子ひとつとってみても、万人に共通の車椅子というのはありません。 障害の内容や程度に応じて設計が異なり、そこにはパーソナルな人と道具の関係が成立しています。
また、身体性や行為性に基づいた機能性が顕著な形で現われています。 機能が単なるイミテーションとして商品価値に付加されている現在、こうしたハンディキャップの道具を通して機能性について再考することは、近代デザインが追及してきた合理的な形や機能に疑問を投げかけることかもしれません。

一方、積極的に取り組むデザイナーが少ない、商品化する企業がない、商品化したとしても高価であるといった現実は、デザインの経済システムの問題そのものです。 デザインというフィルターをとおしてハンディキャップの道具を見ていくと、機能性、身体性はもちろん、市場性、経済性に至るまで、従来とは 異なった側面が見えてくるようです。
そしてまた、デザインを取り巻くさまざまな問題も明らかになってきます。 そのひとつひとつを解きほぐしながら、人にとって本当に素晴らしい道具、デザインとは何なのかを考える手立てにしたいものです。

INAXギャラリー





図録・BOOKLET『 ノーマライゼイションへのデザイン在庫切れ
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ



会 期 (終 了)
ギャラリー名古屋
1989年7月〜10月



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