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出原司展
−プリント・ウォール−

ごあいさつ

INAXギャラリー大阪1990年新春の幕開けは、出原司展−プリント・ウォール−を開催いたします。
出原司(いづはらつかさ)さんはリトグラフによる版画家ですが、版画作品では従来考えられなかった大画面構成に、その大きな特徴があります。

1985年から始まった和歌山県立美術館主催の和歌山版画ビエンナーレにも国内外の若手作家から次々に大作が出品され、話題をよびました。 ことし出原さんが出品した「南の海でゆっくり漂う」は383.6cm×926.0cmの大画面に、かつてアリューシャン列島に棲息し、乱獲によって絶滅したステラー海獣が実物大に描かれています。 出品作の中でも群をぬいて大きなこの作品は、躍動するステラー海獣の力強さを見事に表現しています。

リトグラフでこのような大画面をつくる秘密とは、長方形の版画紙を縦7枚×横22枚でつなぎ合わせているためです。 いわば長方形のピースによる巨大なジグゾーパズルのように、154枚合わさって、はじめて一点の作品が完成するのです。 そしてこの作品の大きな特徴は、貼り合わせの縦軸に、細い木のフレームを用いていることです。
彼が木製支持架とよぶ必要が生んだこの仕掛けは、視覚的にも斬新で、平面作品を立体的な効果で見せる役割も果たしています。

版画の室内装飾的な愛され方にあきたらなくなった出原さんや、京都周辺の若手作家により1988年「マキシ・グラフィカ」が結成され、最大級の版画を目指した活動も始まりました。 画期的な発想の転換を経て、今版画が大きく変わろうとしています。
今迄の版画の概念をくつがえしながら、版画の表現領域を大きく拡げた出原さんの登場にどうぞご期待ください。

INAXギャラリー大阪




注/展覧会図録は刊行していません



会 期 (終 了)
ギャラリー大阪
1990年1月



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