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配島庸二展
−母型展開−

ごあいさつ

INAXギャラリー大阪、1990年4月の現代アート展は、作家として既に長いキャリアをもつ配島庸二さんの個展−母型展開−を開催します。
配島さんは最近、直前に発表したものを、現在のテクストにして作品を作る作業を開始しました。それは、旧作の平面の上に和紙や洋紙、ダンボールを幾重にも重ねたり、または同じ旧作の一部分を切りとってコラージュをした上に長短の無数の線を描き込んでゆきます。
その結果キャンバスは四方八方に画面が伸び、以前の矩形の枠組みにとらわれない新作が生まれます。 そこに描かれているものは、サイクロイド状の荒々しい線や太い伸びやかな線、繊細なものやしなやかな動きなどの様々な線の感情が画面を走ります。色彩も鮮やかなアクリリックスや墨、木炭によるもので、特に最近見られる墨の肉太い筆跡や塗りつぶしの変化には豪快さが感じられます。

しかし、配島さんの作品はこれらの線の形や色だけが画面の主役というわけでもありません。旧作の上に紙を貼り線を描く、この同じ繰り返しは、過去の作品が見え隠れしながら新しい作品が生まれるという作用の中で、画面をますます細分化させます。
そして、それらの時間の流れは平面をより立体的なものにも見せ、画面の空間を拡大して行きます。配島さんの描線も、そういったそれぞれの空間において一層生命感を帯び、更には画面の表面に浮上しようとする力さえ感じるのです。

配島さんは、これらの作品を自ら "クローンド・ヴィーナス (Cloned Venus)" と名づけています。 ある1つの母体から次々に分離増殖する空間に、自己差異化と自己増殖をなぞらえながら、そこにたくさんの自己の分身化を企てているわけです。
今展では、昨年の旧作に加え、今年の新作が加わりますが、ギャラリーの壁面上に、配島さんの増殖する空間が今度はどのような形状で展開し、そしてどのような変容を遂げるのか、興味深いところです。

INAXギャラリー大阪


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会 期 (終 了)
ギャラリー大阪
1990年4月



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