ごあいさつ

INAXギャラリー大阪、1990年7月はカナイヒロミさんの−とんがりオブジェクト−展です。
カナイさんは、1985年、糸井重里氏命名の「おフトンアート」で鮮烈なデビューを果たしました。 原色の赤や黄、ブルーや紫のサテン地のオブジェが会場を埋め尽くし、スポットライトに照らされたそこここに、見果てぬジャングルや深海が出現しました。
カメレオン、イグアナ、サソリ、ある時は象やヒョウ、そして隠花植物にも似た花々や深海の生きものたち、カナイさんのモチーフは無限です。
プラスチックの雑貨や、スプーンやペン先、チューブやコルクと一見ガラクタに見えるモノたちをそのサテンのオブジェにまとわりつかせながら、カナイさんは自分の宝物を際立たせ、オブジェを彩りました。 何色ものキラキラ光る原色のサテンのオブジェが、幾重にも層になり、からみ合っているのに、少しも下品ではなくて、ユーモラスでちょっぴりエロティック。 魔法の指先から生まれるかたちはふくよかで、愛らしく、激しく元気でした。

そのカナイさんが今回は、モノトーンのサテン地で椅子や家具を作りはじめました。
カナイさんらしいトンガリ、ニョキニョキした家具たち。座るとひんやりしたサテンの感触が肌にふれます。 また、ずっとこだわりつづけてきた "MASQUE (仮面)"シリーズも壁面に展示します。
異形のマスクの視線に見えるのは白い家具。 灼熱のカーニバルから白熱の激しさと輝きの作品をひっさげて、カナイヒロミさんの1990年代が幕をあけます。

INAXギャラリー大阪