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ボール展
−球体的快楽−

いったいボールの種類はどれくらいあるのでしょう?

「ボール」ということばの語源は、日本語の「まり(まろ=丸い、からの転化)」と同様に"丸い"という形状を表すものだといわれていますが、木や藤、石でつくられたものもあり、古くは、ザボンやヤシの実などの果実、牛や豚の膀胱、アザラシの剥製までもボールとしていました。 こうしてみると、弾まないボールはもちろん、丸くないボールもあるようです。

さて、投げる・取る・つかむ・打つという動作をもつ球技は、人間の本能に根差したものだといえます。 世界中のあらゆる民族にさまざまな球技・球戯がみられることは、ボールが古くから生活の中に存在していたことをものがたっています。 とくに未開社会においては、ボールが太陽や月のシンボルとみなされました。 天体(宇宙)とくに太陽信仰と結び付いて、球戯が宗教や信仰のなかの儀礼として現れた例も多くみられます。 古代中国では軍事訓練として行なわれ、西欧では宮廷遊戯であったなど、球戯と同様にボールの意味も時代によって変化してきました。 手近にあるものを、あるいは適当なものを丸くして使っていたボールは、時代により素材や形を変え、19世紀以降はさまざまな技術革新も手伝って飛躍的に進歩します。 生ゴムが加硫されてボールに応用され、セルロイドができ、第二次大戦後は合成ゴムや合成皮革、特殊プラスチックが登場します。接着剤や空気パルプも改良され、ボールの耐久性、弾力性、硬度、防水性、均質性などが格段に高まりました。

また一方では、スポーツが"観戦"されるにつれ、ゲームにショーとしてのスピード性やダイナミックさが要求されるようになりました。硬くよく弾むボールは、プレイヤーの高度な技術やルールを促しました。 ボールの性能ばかりでなく、赤と緑のバスケットボール、サッカーのワールドカップ使用球は獅子の模様入りなど、デザインも大きな影響を受けました。

本展では、クケット、チンロン、ペタンク、蹴鞠、ザボン、アザラシなど、たくさんの種類のボールを紹介し、また、分解したり、切断したときの意外なボールの顔もご覧いただきました。 次第に、その球技に興じた人の生活や姿が彷彿とし、見知らぬ国や時代を身近に感じ、"ボール"に対するイメージもどんどんふくらんできたことと思います。

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図録・BOOKLET 『 ボール
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ




会 期 (終 了)
ギャラリー名古屋
1991年6月〜8月


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