INAXギャラリー大阪のオリジナル企画展、今回はその2回目、「布絵フィールドワーク−岡本靖子の手法展−」をご覧いただきます。
名古屋に"野外活動研究会"という、東海地方を中心に、生活道具や自然、風習、風俗のフィールド調査を行なっているグループがあります。 その中のひとり、岡本靖子さんは、全国の町や村を歩いて庶民の女性の衣服の観察を続けています。 ペンとカードを手に、スケッチやメモを行ない、人々の衣生活の現状を克明に採集しています。
更にそれらの資料の中から、代表的なスタイルや消え去ろうとしている衣風俗を、アップリケや刺繍、キルティングによって「布絵」に仕上げます。

実際に用いられた布を使って、写実的に縫われたこれらの作品をご覧になって、こんな記録法があったのかと驚かされることも多いでしょう。 また、岡本さんのこの独自の手法は、単なる記録にとどまらない独創性を感じるとともに、人々に向けられた温かい眼差しが私たちの心を打ちます。
本展では、岡本さんが初めて観察した、ミナミや鶴橋でのエプロンや前かけ姿の女性たちの記録も加わりました。 この大阪の衣風俗にもご注目いただきたいと思います。

INAXギャラリー大阪