紙は、私たちの身の回りに、一番多く存在する素材です。
情報を伝え保管する印刷用の紙、包装紙や袋などものを包む紙。ティッシュペーパーのように汚れや水分を吸収する紙。 私たちはこれらを、どれも同じ白い紙が単に姿を変えているだけのようにとらえていないでしょうか。 現在日本で使われている紙の種類は約25万･･･。 私たちが無意識に当たり前のように使い分けているこれらの紙は、それぞれが用途にあわせた性質や機能をもっているのです。

元来、紙はそれ自体が優れた性質をもち、広範囲の用途にそのまま役立ってきました。 しかし、私たちの生活がレベルアップしながら、複雑化するにつれ、紙がより専門的な役割を要求されることも増えてきました。 とくに、紙本来の性質を強化したり、薬品やその他の素材を浸み込ませ(含浸)、混ぜてすく(混抄)などで特殊な機能を付加させた特殊紙は、工業製品はもちろん私たちの生活のあらゆる場面で、重要な役割を務めています。
今展では、従来の紙の概念を超えて広がる特殊紙の性質をのぞいてみようと思います。 いままで、"紙"という言葉でひとくくりにしていたものに、多様な表情や性質があることに気が付いていただければ幸いです。

展示及びブックレット作成に当っては、たくさんの方々にご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。

INAXギャラリー名古屋