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現代・見立て百景

ごあいさつ

たとえば竜安寺の南庭。 砂と石だけで構成されたこの庭で、白砂は海をあらわし、石は山または島をあらわすとされてきました。 砂の上に配置された自然石を、大海に点在する島々とみなす−あるものを他のものになぞらえる−これが「見立て」です。

限られたスペースに大きな世界を表現する枯山水の造園手法、方丈の空間に無限の広がりを見る茶の湯の世界、一本の木に森羅万象を凝縮しようとする盆栽や盆景、そして建物の配置や水・植栽・石の演出でそこにはないものをイメージさせるシーンを創り出してきた建築にも見立ての手法は生きています。

亀に似た姿の石を「亀石」と呼ぶ、<形態の類似性>による「見立て」。庭や盆栽、硯などにみられる、<縮景によるイメージの投影>としての「見立て」。
あるいは<診断、みつくろい>を意味する「見立て」。会場には、中国の道教思想から江戸の小粋な遊び心、暮らしの中に今も息づく過去から現在までの「見立て百景」を切り取って展示してみました。 大自然の景観や不老長寿の仙境、浄土など手の届かない理想卿を身近に引き寄せるためのてだて、それが「見立て」といえるかも知れません。
この展示を通して、私たちの身の廻りにどれほど「見立て」があふれているか、そして東洋人の自然を慈しむ心とその宇宙観の奥深さをあらためて感じとっていただければさいわいです。
展示にあたり関係の皆様方に多大なご協力をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

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図録・BOOKLET 『 現代・見立て百景
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ


会 期 (終 了)
ギャラリー1 ギャラリー大阪
1994年6月〜8月 1994年9月〜11月



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