gallery

ヨットのテクノロジー展
−冒険と風のかたち−

ごあいさつ

見上げれば、縫い目の一つ一つまでいっぱいに風をはらんで、はち切れんばかりのセイルの向こうに太陽が透けています。 下を見ると、呼吸するように上下しながら進む船体に波が添い、ころがるような心地よい音が耳に響きます。 人が知識と体力をたよりに、風を操りながら進むヨットの楽しみ。そこには、古代の筏や帆船に始まる知恵と技術が結集しています。
ヨットのメカニズムは、単純かつ科学的です。 セイルにかかる力のベクトルと、キール(船底に付いたヒレのようなもの)の横流れを防ぐ力のベクトルの合力がその推進力となります。
そして、風に対しあらゆる方向に、より速く安全に航行するために、素材やデザインにさまざまな試行錯誤が繰り返されています。 例えば、現在ハル(船体)に使われる構造材は、木、ポリウレタン、アクリル樹脂、グラスファイバー、ハニカム、更にケプラー、カーボンといったハイテク素材も使用され、これらを複雑に組み合わせたサンドイッチ構造になっています。

このほか、造船工学や流体力学に基づいて描き出されるキールやマストの微妙な曲線、収納や、揺れに対して考慮されたキャビン (船室) の工夫、操作性を高めるため機能と強度を追求される金具やロープ、縫い合わせ方まで吟味しつくされたセイル ―まさにヨットは、先端技術の実験室なのです。
会場には26フィート (全長約8m) ヨットのデッキレイアウトを、斜め上方からの視点で再現するほか、ヨット界最大のレース、アメリカズ・カップの歴史を、木目も美しい1/36ハーフモデルを中心にたどるコーナーも設けます。 また、ヨット製作に携わる方々へのインタビューや、レースの様子など映像資料も豊富です。
人と自然とモノが対等に手を携えて機能する―そんな理想のかたちをこの展覧会で見つめ直していただければ幸いです。

INAXギャラリー

本ウェブサイトからの無断転載を禁じます




図録・BOOKLET 『 ヨットのテクノロジー
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ



会 期 (終 了)
ギャラリー名古屋
1994年9月〜11月



INAXギャラリー 過去の展覧会記録




INAX CULTURE INFORMATION
http://www.inax.co.jp/Culture/culture.html

ギャラリーへのご意見、ご感想、お問い合わせ等はこちら
E-mail : xbn@i2.inax.co.jp

本ウェブサイトからの無断転載を禁じます

symbol
 Copyright(C) INAX Corporation
http://www.inax.co.jp