人類の演劇の歴史は古く紀元前2000年頃にさかのぼるといわれています。 その頃すでにエジプトではアビドス受難劇を上演していた記録が残されています。
どの国においても演劇の起源は神へ捧げるものであったり、鎮魂を目的としたものでしたが、時代の経過とともに徐々に民衆の娯楽へと推移していきました。 その芝居を行う場が今回取り上げる劇場であり芝居小屋です。

オペラハウスの華麗で荘厳な建築、敷きつめられた真紅の絨毯と客席、重厚なドレープのビロード幕、宝石をちりばめたようなシャンデリアの光り。 日本でも歌舞伎劇場の黒・萌黄・柿の三色の幕、開演前の拍子木の音、桟敷席に運ばれる弁当や提灯の明り、花道を行く役者の美しさ･･･。 劇場内のこまやかな事物が相乗されて人々は魅惑と興奮のるつぼに導かれていくのです。
洋の東西は違っても劇場がもつこの磁力はいつの時代も共通のものです。

今回はこの熱狂を作り出す空間（劇場）にスポットをあて、日本・アジア・ヨーロッパと、時代も中世から現代までとあたかも旅をするように劇場をめぐってみました。

展覧会にあたり多くの方々にご協力をいただきましたが、いわば裏方と呼ばれるそれらの人々は役者以上の情熱で劇場や芝居を支えていることに感動しました。
舞台でしか味わえない陶酔のほんの一瞬でも味わっていただければ幸いです。

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