−琳派の萌芽−
光悦村再現
今展では、この琳派の始祖ともいえる本阿弥光悦に焦点をあて、後に俵屋宗達や尾形光琳・乾山らによって完成されていく日本の装飾芸術史の流れを、本阿弥一族や彼らをとりまく人々が営んでいたくらしのかたちから探ってみることにしました。
光悦の生涯で私たちの興味をひいたのは、晩年の30年をそこで過ごしたといわれる京都の鷹ヶ峰一帯の光悦村と呼ばれる土地の存在でした。
当時を物語る資料はほんの僅かしか残されておらず、私たちの想像は一枚の図面の上であてどもなく膨らむばかりでした。 既に多くの研究者たちがこの集落は法華経の信仰村であったという説に傾いており、古図に残された位牌所からは法華経の御題目が昼夜唱えられていたという史実も残されています。 | |||
会場風景撮影:早川宏一(2点とも) |
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しかし、光悦の手紙を見ると、光悦がそこで単なる信仰だけの隠遁生活を送っていたようには思えません。 茶の湯を通じた様々な人々との出会いと、楽吉左衛門にあてた土を急いで求める様子の手紙からも、鷹ヶ峰での作陶三昧の日々が伺われます。 「舟橋蒔絵硯箱」など、光悦蒔絵の制作も鷹ヶ峰に移ってからで、その創作活動は衰えていません。
さらに、隣り合う人々の住まいの多くが光悦の指導による職人長屋の様相を呈していたのではないかと想像され、本阿弥家の家職と、光悦をとりまくそうそうたる町衆文化人や芸術家たちが集団で移住してきた事実から、私たちはここが法華経を精神的支柱とした極めて特殊な芸術村であったと推論しました。
ひとつ処に人々が住むエネルギーが総合芸術のように多くの意匠として花ひらいていったものとも考えられます。
展示にあたっても、関係者の方々に多大なるご協力をいただきました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。 INAXギャラリー |
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図録・BOOKLET『
光悦村再現』(在庫切れ)
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ |
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1995年12月〜1996年2月 | 3月〜5月 | 6月〜8月 |
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