ガウディのフニクラ
−カタルーニャの曲線−
「フニクラ」(FUNIKURA)とはカタルーニャ語で「ガウディの逆さ吊り実験の曲線」の意味です。 スペイン近代建築の巨匠アントニオ・ガウディ(1852〜1926)は、力学的に安定した構造を建築に持たせるため、10年間にわたってこの「フニクラ」を自らの作品に採り入れた最初の建築家です。 バルセロナのランドマーク的役割を果たしているサグラダ・ファミリアやコロニア・グエル地下聖堂、グエル公園の列柱の形態などは、この「フニクラ」によるものなのです。 ガウディは、フランスの建築家ヴィオレ・ル・デュク(1863〜72)や、物理学者ロバート・フックの「弾性の法則」の影響を受け、生涯をカタルーニャ地方で過ごしました。 近郊のモンセラット山の稜線や、この地方の草の茎に似ているとも言われるガウディの曲線 ― 自然で有機的で多様なフォルムをもつそれを、わたしたちは"カタルーニャの曲線"と名付けました。 |
まず、ひもの両端を持って吊るし、垂れ下ったひもの中心に重りを下げます。できた曲線をさかさまにしてアーチの形態を求めます。 このアーチが幾層にも重なり、柱と力の方向性や構造があきらかにされる−それが「フニクラ」です。 ガウディはこの実験を麻ひもと散弾袋によって行ないました。くもの巣のように張りめぐらされたひもを、柱の位置が変わるたびに解きほどく大変に根気のいる仕事です。 コロニア・グエル地下聖堂ポーチの天井工事の折、その構造のあまりの複雑さに、職人たちは柱の仮枠をはずすのをいやがり、ガウディ本人がその下に来てはずすのを指示したというエピソードもあります。 その圧倒的な存在感ゆえにさまざまなジャンルの人々を魅了し続けてきたガウディの建築は、ともすると豊饒な色彩のモザイク・タイルや同時代のモデルニスモ(スペインのアール・ヌーボー)の視点で語られることが多く、構造が驚くべき合理性に裏打ちされていたことはあまり知られていませんでした。 本展は、図面をひくことよりも模型をつくることを好んだガウディが独自のフォルムを発見するに至った過程を改めて読み解き、合理的設計者ガウディの建築構造がもつ本質的な美しさを再認識しようとする試みです。
会場写真撮影:早川宏一(3点とも)
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図録・BOOKLET『
ガウディのフニクラ』
INAX出版が発行する建築とデザインを探検するシリーズ
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1996年6月〜8月 | 9月〜11月 | 1997年6月〜8月 |
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