gallery

秘土巡礼
−土はきれい、土は不思議−


解説ページ

栗田宏一、芳村俊一 [インタビュー]
下記は、展覧会図録BOOKLETの収録記事をもとに構成しています


栗田宏一の土採集
会場写真
「木箱・日本全国の土 (試験管36本入り) 」
制作 : 栗田宏一
(INAXギャラリー展示より)
土の美しさを伝えるために私が選んだ方法は、野山や田畑で土をひと握りだけ採集し、乾燥させ、るいをかけるというものです。熱を加えるわけでも、水で洗うわけでも、なにかで色をつけるわけでないのに、足もとのなんでもないただの土にはこれほどの色合いがひそんでいるのです。どうして、れほどいろんな色があるのか。日本全国を巡って約一万種の土を採集した今でも明確な答えは得ていせん。地球を構成する主成分である鉄の酸化の度合い、地質の相違、火山や温泉による影響、植生の違い、平均気温、雨量、風向き・・・等々、原因はいろいろあるのだろうけれど、そんなことを知らなくても、土が発する美しさは圧倒的です。


芳村俊一のやきもの革命
「どこにでもある土を、みんな焼いてみたらどうなるんだろう」という純粋な好奇心からはじめたのが、私のやきものでした。私の場合は、結果として形になったものより、その過程の理屈を、科学的に解明したいという欲求が人一倍強かったのです。陶芸家になろうというよりは、とにかく土を採り、焼いて実験して遊んできました。やきものの世界では、まず通俗的な焼成温度が先にあって、それに合う土だけがやきものの土とされてきました。しかし逆に、まず土があり、その土に合う焼きをすれば、どんな土でも立派なやきものになると思うのです。高温に耐える土はやきもののボディにつかえばいいし、熔ける土は釉薬につかえばいいのではないでしょうか。また、一旦高温で焼いた土でも、低温で焼戻してやれば、不思議なことに今まで表れてこなかった色が出てくるのです。

焼戻し : 1250℃ぐらいでいったん焼いたあと、再び低温で焼成すると、土に含まれている金属物質は低温でしか出さない思いがけない発色をする。
会場写真
「焼戻し」の手法によるやきもの。
制作 : 芳村俊一 撮影 : 大西成明




土壌モノリス-土の横顔

地面に穴を掘り、現れた垂直の断面を土壌断面といい、その姿をある厚さでそのまま取り出して標本にしたものを「土壌モノリス」といいます。私たちが普段眺めている土は、あくまでも土の表層でしかなく、じつは足下に、知られざる土の世界が広がっています。
「土の横顔(ソイル・プロフィール)」あるいは通称「モノリス」と呼ばれる、地下の土層断面を切り取った標本は、微妙な色のグラデーションとさまざまな大きさの粒子が模様を描いて、土の生い立ちや自然の神秘を見せてくれます。このモノリスは、地質や気候、植物の生成、地形や人間の作用によってできた様々な土の状態、つまり土壌の様子を、直接見比べて理解するために作成されています。

土の種類と特徴
● 森林土壌のモノリス
ポドゾル・・・寒冷地の針葉樹林帯で見られる、灰白色の表土を持つ土。
褐色森林土・・・湿潤温暖な日本の国土の約58%を占める土。
黒色土・・・火山灰が降り積もり、植物から供給された大量の黒い腐植がたまってできた土(耕地土壌の「黒ボク土」と同じ)。
赤黄色土・・・高温条件と雨による風化で、鉄分が残ることで赤や黄色に変化した土。
特殊な土・・・火山地域や沖縄本島で見られる土。
会場写真 会場写真
「森林土壌のモノリス」(INAXギャラリー展示より)
● 耕地土壌のモノリス
黒ボク土・・・降り積もった火山灰からできた、黒くてボクボクと砕けやすい土。
台地の土・・・洪積世の堆積物からできた台地に見られる、粘土質の赤色土や黄色土。
低地の土・・・低地に多い水田の土、海や湖を耕地に変えた干拓地の土。
水田の土・・・同一試験場で約60年間、肥料の種類を変えて実験した土。
未熟土・・・土の顔(土層)ができていない未発達な土。
特殊な土・・・老朽化した土、植物からできた土。



関連リンク
農業環境技術研究所
http://soilgc.job.affrc.go.jp/

森林総合研究所
http://www.ffpri.affrc.go.jp/index-j.html

ひろば雄山「窯元めぐり/芳村やきもの資料館」のサイト
http://www5b.biglobe.ne.jp/~yuzan/4kamamo/4chubu/1kosinet/yosimura.htm





展覧会
TOP PAGE
展示品リスト 図録・BOOKLET 関連書フェア記録



INAX CULTURE INFORMATION
http://www.inax.co.jp/Culture/culture.html

ギャラリーへのご意見、ご感想、お問い合わせ等はこちら
E-mail : xbn@i2.inax.co.jp

本ウェブサイトからの無断転載を禁じます

symbol
 Copyright(C) INAX Corporation
 http://www.inax.co.jp