東京の郊外・吉祥寺は、お洒落なショップやレストランも数多く、周囲にはキャンパスや公園、話題の三鷹の森ジブリ美術館などが点在し、平日でもかなりの人出で賑わいます。 しかし道を一本でも外れてみると、閑静な住宅地の顔も見えてくる街です。
この地にオープンして23年のパルコブックセンター吉祥寺店をご紹介します (1998年に一度取材していますが、5/24にリニューアル・オープンしたので掲載内容を改めています)。 売上が前年比を上まわり、好調なスタートを切りました。

店舗はパルコの地下2階に入っています。 エスカレーターで降りていくと、床に大きく描かれた新しいフロアMAPと、大きな平台2つが迎えてくれます。 コーナー壁面には、A5サイズの本が表紙を見せて6冊Ｘ7段並べられる棚が計12本、単純計算で約500点もの本がビッシリと並んでいます。 この一角は新刊や話題書を中心に、文芸書はもちろん人文、コミックなどジャンルを横断した構成になっています。 またブックフェアも行なわれています。 先ずここで立ち止まって選書するお客様を多く見かけました。

今回のリニューアルでは、3ヶ所あった会計レジをフロア中央1ヶ所に集約し、書棚も高くするなど、在庫を約10％強増やしています。 なかでも力を入れたのが、"Art LOGOS"と"人文書"の品揃えです。 "LOGOS"では、前からある和書はそのままに、洋書に重きをおき、ART・ビジュアル系の雑誌・画集・写真集、カード類、DVDなど、各ジャンルで増やしました。 "人文書"も、法律・経済関連書など、周辺競合店にあまり置かれていないものを強化しています。 また"スタジオ・ジブリ関連書コーナー"を設け、トトロの絵本や豪華本、ビデオ等を揃えたのも特徴です。

お話を伺った店長さんは「バランス感覚が大事」と言います。 サイン会などもよく行なわれ、吉祥寺というファッショナブルな街のイメージを大切にしつつ、競合店との差異化を図り、しかも子供からお年寄りのお客様まで、地元を意識した幅広い品揃えとレイアウトも必要です。

以前からベビーカーのお客様にも配慮して、広い通路スペースをとっていましたが、より利用しやすいように"絵本コーナー"をエレベーター近くに移し、小さな机と椅子も置いています。
高い書棚用に踏み台も用意、もし手が届かない場合は、店内4ヶ所の低い位置に設けられた「ふれあいコール」ボタンを押すと、店員が駆けつける仕組みです。 圧迫感のないように、"LOGOS"を除く書棚は明るいトーンで統一しています。

お客様の年齢層は、時間帯によってハッキリと分かれます。 午前中は中高年やお年寄りの方が多く、そのうちに小さなお子さんを連れた主婦の方、午後から学生が増えて夕方から混み始め、5〜7時に勤め帰りのお客様で混雑のピークを迎えます。
多くは地元の常連さんですが、駅バスターミナルを利用する、やや遠方の西東京市在住のお客様も目立ちます。 また意外にも千葉や静岡といった地方からの問い合わせもよく受けるそうです。

INAX出版の書籍は、 "LOGOS" 内に、外国人のお客様も手に取るというデザイン系の『BOOKLET』シリーズが、離れた建築書の棚に、『Ten Plus One』、『10＋1series』や建築系『BOOKLET』など、内容に合わせて2ヶ所に置かれています。 新刊もまとまった数で納品しています。 最近では『BOOKLET小屋』と『20-21世紀DESIGN INDEX』が、"LOGOS"の側でロングで売れて好評でした。