鶴見幸代 展 会期 : 2004年12月1日(水)〜12月21日(火) |
鶴見さんの作品は、インスタレーションです。色柄やデザインが統一された壁紙やカーペット、ソファが個人宅のリビングのように設置されていたり、鶴見さん自身による写真作品が壁に展示され、部屋の真中には観葉植物が鉢ごと転がっていたりします。オシャレなしつらえの部屋ですが、どこか違和感があります。よく見るとカーペットには大きな焼け焦げに見える色がついていたり、TV画面には壁紙の柄が映っているだけだったりと、なにか不穏な空気が漂っているようです。 夏の強い陽射しや白い雪がモチーフで、あまりの眩しさに、物質自体が発光しているように見えたり、まぶたの裏の残像のようだったり、陽炎が立ち昇って視野が揺らぐようにも感じられます。部屋をしつらえるカーテンや家具にプリントされた凝ったパターンは、葉枝の影を10回コピーしてつくった柄です。ブレの重なりで生じてくるイメージは、眩しさに焦点が合わない時の視界のようです。 部屋の壁に掛けられた大きな写真は、鶴見さん自身が撮影した夏の森林や庭や池や雪景色をインクジェットで出力したものに、直接線描きのドローイングを重ねています。滑り台を頭から落ちる男、青い発疹だらけの手、下半身に緑色の蛇を巻きつけた女、ビニールプールで遊ぶ少女達などですが、手描きのドローイングによって、観客に見えるものと、作家が見てほしいほとばしるものがせめぎあい、光のハレーションの合間に見える残像のような作品には、不思議な浮遊感があります。 今展では、写真と直接ギャラリーの壁に描くドローイングを中心に部屋全体をインスタレーションします。冬のイルミネーションの溢れる街頭から会場へ入場した時に、そこにあるのは射ぬかれるような眩い白さの世界です。電飾の星のような煌きとは別の、発光する部屋を表現した作品をご覧下さい。 |
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