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INAX出版 営業日誌

INAX出版 の書籍が置いてある全国の書店をご紹介します(在庫の有無は書店にご確認下さい)。
このページは、INAX出版・営業担当者が毎月連載します


ブックファーストルミネ新宿2店

2005年4月 ご紹介

店舗

新宿駅南口に直結したルミネ新宿2の5階、ブックファースト新宿ルミネ2店をご紹介します。 新宿初進出は昨年の8月、急遽閉店した大型店の後に僅か2週間で開店という大変慌しいものでしたが、今回は3週間の"充電"を経てのリニューアル・オープンです。
2月22日、それまで店が在った4階を通り越し、エスカレーターで5階へ上がると、青地に白で店名を掲げた看板と、新刊・話題書の面陳棚が先ず目に入ってきます。以前よりも高くなった書棚、フロア中央に構えた横長のレジ台からはスタッフの元気な接客の挨拶が聞こえ、そして前日夜10時まで作業し、本来は午後出社なのに朝から棚の前に居たスタッフの「ようやく自分達の店という実感が沸いた」と云う台詞が、壁から天井ロフト部にかけて真っ白く塗られたペンキの匂いと相まって、此処に新しい店が生まれたのだという印象を強く受けました。 それから約1カ月、売上を順調に伸ばし、未だ未だ慌ただしい中を縫っての今回の取材です。

乗降客数日本一と云われる新宿駅南口に直結した書店とあって、エスカレータから続々とお客様が上がって来られます。 新刊・話題書の棚やランキング台などから目当ての本を抜き取り、そのまま真横のレジへ直行するスピーディなお客様も少なくありません。 夕方5時過ぎから本格的に混み始め、人々が映画や食事に行く夜7時前後にいったん混雑の波は引きますが、9時過ぎから閉店まで活況は続きます。 夜11時まで開けている大型書店は周辺になく、私も残業後や映画鑑賞後によく立ち寄らせて戴いています。

レジ横ランキング台 店内 店内

スタンダードなものからディープなものまで、ベストセラーを堅実に売っていく一方でマニアックなものもピンポイント的に動くという、商品の動きは実にさまざまです。 またルミネというテナントの構成を反映し、若い男女のお客様が中心です。 特に人口密度が高いのがファッション・インテリアなどの女性誌、カラフルな表紙を贅沢に見せた料理関連書など実用書のコーナー。 また7階にはお笑い劇場<ルミネtheよしもと>が在り、関連書を置いたサブカル系の棚も人気があります。
参考までに取材時の売上ランキング1位は『プロ論』、2位、3位に『ダヴィンチ・コード』上下巻、4位に『問題な日本語』、5位が『つくるひとそのくらし』。 季節柄いまは就職関連書も人気だそうですが、このほか『Arne』、『+81』、『SWINTCH』、『WWD』などのファッション・アート系雑誌が10位内に表紙をみせ、またジャン・ヌーヴェルとジャン・ボードリヤールの『建築と哲学』といった硬派な本も非常に良く売れているといったあたりが、この店ならではと云えます。

店内 店内 店内
INAX出版の本が置かれた建築の棚では最近、六本木で行なわれていた<アーキ・ラボ展>の図録が良く売れたそうです。 荒川修作氏の『建築する身体』のトイレットブックも「アート作品と思えば350円(税込)は安い」と、新聞などメディアで紹介される以前から堆く積み、これまでに160ロールは売り上げました。 デザイン書は技法から読み物までまんべんなく売れ、先輩格の渋谷店を上回る売れ行きです。またLomoカメラや、ファッション・ブランド<FINAL HOME>とのコラボレーション・グッズも人気があります。
駅ビルの総合書店として商品を幅広く取り揃えている一方で、マニアックで新しい商品をいち早く置き、それに応えて下さるお客様が居らっしゃるというのが、こちらの店の特徴です。
総じてお客様は情報に敏感です。 建築・アート関連書で例えると問い合わせ内容は専門的で、おそらくプロのクリエーターの方かと思われます。 また文芸書の棚でも、例えば毎月毎号文芸誌を読んでいるお客様は、デビューしたての作家さんの初めての単行本が出る日を把握していて、担当者がそうと知らずに多めに仕入れ損ねた新刊があっという間に売り切れてしまったり。 コミックは担当が非常に詳しいのでそんな窮地に陥らないと思う、と別のスタッフは笑っていましたが、兎に角、どの棚でも新しいものに対する反応は早いそうです。
福嶋舞ART

流行が始まってからではなく、いかに先を見越して商品を集め、それをどう展開するか、大型店がひしめく此処新宿ではそれが重要なポイントになります。 新刊が店に入庫した時点では遅いので、未だ本が出来ていない、チラシなどの断片的な情報を元に「これはウチの店ではいけそうだ」と思い定めたら、出版社や著者にも協力を請い、店内で早めに大きく取り上げます。 この最初の見極めが難しく、時として思った結果が出ない事もあるそうですが、成功した時の喜びはひとしお。 逆にやりがいのあるテーマと云えます。 最近では『BROACH』が「例えるなら吉本ばなな並みに」売れたそうです。

取材時には若干二十歳の作家(福嶋舞氏)による初めての作品集『Nothing』が展開中で、まるでエゴン・シーレのような繊細なイラストが、エスカレーター横のショーウィンドウとレジの後方の目立つ位置に何枚も展示されていました。 この「仕掛け」のサイクルも非常に早く、2週間で替えていきます。 次回はほのぼのとした作風で人気の平澤まりこ氏の新刊に合わせ、イラスト原画展を予定しています。

店内

今回の取材は、午後3時前後と、新刊『批評と理論』の補充納品も兼ねて伺った夜8時の2回に分けてお願いしたのですが、昇りエスカレーター前の新刊台の商品が夜にはガラッと変わっていたのには驚きました。 数時間前まで山程あった福山雅治の写真集も残り1冊となっていて、着いたばかりの村上龍氏の新刊も並べるそばから売れていきました(実にうらやましい光景でした)。

この昇りエスカレーター前の一角は、新刊・話題書のほか、仕入れスタッフ5名がそれぞれのオススメ本を展開している場でもあります。 好き嫌いではなく、あくまでお客様を意識してのセレクトです。
取材撮影中、持ち場の棚とストックを往復し、商品の入れ替えを行なっていたスタッフがふと、その棚の前で立ち止まりました。 自分の受け持ち棚をジーッと見つめること数秒、置かれていた商品を2点ほど抜き取りました。 その一連の所作が、まるで生け花か、描きかけのデッサンをいじっているように見えて、『書店員さんというのは庭師みたいだなぁ』と思いました。
ブックファーストのキャッチ・コピーは「はじめに行きたい本屋さん」。 今は改装したばかりで真っ白な綺麗な店のように見えても、棚の中にはクセがある、時としてピリリと毒気もあるような、そしてお客様に「此処に来れば何かがある」と期待される店を目指して、体力勝負の仕事はこれからも続きます。


ブックファーストルミネ新宿2店

東京都新宿区新宿3-38-2 ルミネ新宿 ルミネ2 5階(160-0022)
TEL : 03-5339-8451
FAX : 03-5339-8452

営業時間 : 10時〜23時
休業日 : 無休(ルミネ2休館日に準ずる)

ブックファースト URL: http://www.book1st.net/


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