2005年6月 ご紹介

2005年2月17日、愛知県常滑市に中部国際空港（通称セントレア）が開港しました。オープン初日から、国内線、国際線ともに満席となったほか、飛び立つ飛行機や伊勢湾を眺めながらお風呂に入ることのできる展望風呂、東海地区中心の地元特産品を集めた商業施設などを利用しようと、多くの人が続々と詰めかけ、話題を集めたのはまだ記憶に新しいところです。これらの複合商業施設が軒を連ねる空港4Fのスカイタウン・レンガ通りに、今回ご紹介する丸善中部国際空港店はあります。

丸善が空港に店舗を構える書店として出店しているのは、関西国際空港店、羽田空港店に続き、中部国際空港店が3店目です。新しく書店が開店する際には、あらかじめ、お店の立地や客層などを考慮して棚に並べる書籍を選んでいきますが、今回の中部国際空港の丸善オープンにあたっては、約10年前にオープンした丸善関西国際空港店のデータをもとにして、出張で海外へと飛び立つビジネスマンをターゲットにしたビジネス書、また旅行客のためにガイドブック中心の品揃えがなされました。
ですが、いざ空港がオープンしてみると、セントレア自体が観光スポットとなり、ビジネスマンや旅行者はもちろんですが、空港利用者以外のお客様が予想以上に多いことから、急遽、文庫本や雑誌、話題の本なども充実させていきました。現在では、文庫本、雑誌、ガイドブック、ビジネス書が約30坪の店内にバランス良く配置されており、飛行機の出発便が多い8:00〜10:00頃は、長旅となる飛行機のなかでも手軽に読める雑誌や文庫本を、逆に到着便が多い16:00〜18:00頃は、しばらく日本を離れていた方が日本の状況を知るために、週刊誌などを買い求めるのだそうです。こうした本の動きは、空港にある書店ならではの傾向といえるでしょう。

現在、この丸善中部国際空港店でダントツに売れているのは、なんといっても9月25日まで愛知県で開催されている「愛・地球博」の関連書籍です。「愛・地球博」公式ガイドブックは、日本語版、英語版、中国語版、韓国語版と出ていますが、今までで、合計1,000冊以上も売れているそうです。なかでも「愛・地球博」のキャラクター「モリゾーとキッコロ」のイラストの入った方位コンパスと、会場マップが印刷されたレジャーシートがおまけでついている『愛・地球博公式ガイドブック−ジュニア版』は、お子様へのお土産としてご購入される方だけでなく、外国からのお客様にも人気の商品です。
また、観光としてセントレアを見学されるお客様の数も依然衰えることがなく、中部国際空港に関する書籍も同様に良く動きます。セントレアのオリジナルキャラクター「セントレアフレンズ」が表紙に描かれた『セントレアBOOK−中部国際空港オフィシャルガイド』は、中部国際空港をくまなく紹介していて、中部国際空港がオープンしてから、1,600冊以上も売れているそうです。

こうした、かわいらしいキャラクターたちが描かれた本に囲まれて、現在、INAX出版の『やきもの新感覚シリーズ・50人』を販売していただいています。INAXは、中部国際空港のある常滑市に本社を持ち、同市にある「世界のタイル博物館」にて世界各地のタイルのコレクションを展示公開してきました。同時に1999年よりやきものの現代作家による展覧会も開催しており、その数は今年の3月でちょうど50人になりました。これらの作家による展覧会「やきもの新感覚シリーズ・50人−土と炎の魅力と魔力｜50のOBJECTS」が、地元常滑市の中部国際空港にオープンしたセントレアギャラリーにて6月5日まで開催中です。こちらのお店では入口の目立つところにこの展覧会図録を置いていただいています。
セントレアギャラリーは、商業施設のあるフロアの賑わいからは少し外れたところに位置していますが、訪れるお客様は、それぞれが興味深げに作品を鑑賞されており、常滑がやきもの文化の深く根付いた土地であることが伺われます。展覧会図録は、会期終了までの販売を予定しておりますが、店頭では「愛・地球博」や「セントレア」の関連書と同じように、手作りのPOPでご紹介くださっており、とても嬉しく思いました。

まだ少し先のお話になりますが、9月に「愛・地球博」の会期が終了した後のお店の展開予定について店長さんにお伺いすると、「今は中国や韓国への発着便がメインですが、今後、アジア圏以外の発着便が増えていく予定なので、それにあわせて、洋書、洋雑誌も徐々に増やしていきたいですし、再来年にトヨタの本社が名古屋駅前に移転し、約1時間で国内外へ移動できるようになるということですので、ビジネスマンを狙った品揃えを考えています」というお返事がありました。
「愛・地球博」が終わった後も、中部国際空港から飛び立つ旅行者やビジネスマンのための旅の1冊を提供し、より良いフライトをサポートしてくれる、そんな本屋さんになることと思います。

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