下道基行 展 -戦いのかたち-
■ アーティスト・トーク ■ 会場にて、制作のことなど 作家ご自身に語っていただきます。 7月1日(金) 18時〜19時 先着順、入場無料 (終了しています) |
下道さんは1978年生まれの写真家です。畑の中に忽然と聳え立つ6階建てのコンクリートの廃墟、あるいは海岸際に今にも崩れ落ちそうな細長い窓のひとつだけある建物、道を跨ぐコンクリートの大きな弓形の屋根、往来の少ない広大な舗装道路など、日常風景の中に存在する不思議な建築物の光景を撮影しています。道を跨いだコンクリートの弓形の屋根は、長年緑に覆われて古墳のようであったり、雨を凌ぐ近所の住民の荷物置き場に使われていたり、秘密基地になって子供が遊んでいたりします。巨大な野外彫刻か、壮大な「超芸術トマソン」、路上観察学のモチーフのような不思議な光景です。 下道さんがこうした風景に出逢ったのは、ある時バイトの途中の公園で見つけたコンクリート2階建ての廃墟でした。壁には弾丸を打ち込まれたような無数の傷が残り、説明看板に、太平洋戦争の時に敵戦闘機が打ち込んだ機銃の弾の痕と書いてあるのを読んだ時、極めて平和な風景の中に、こうしたものが数多く残されている事実と、とうの昔に終わったはずの戦争の情景が生生しい現実感をともなって、眼前によみがえってくる錯覚に陥ったと言います。それ以来彼は3年に渡って全国のこうした建物を撮影し続け、その数は200件を数えます。 それらの廃墟の名前は掩体壕(えんたいごう)、トーチカ、滑走路。かつて軍用機を空爆から守る格納庫であったり、兵器実験や発射試験場であったり、今では戦争遺跡と呼ばれているもので、その多くは自治体による保存か排除かの意見が分かれて、そのまま廃墟となっているのです。下道さんの取材は海外へも及びます。オーストリア・ウィーン郊外のナチスがつくった高さ50mのフラックタワーは、現在は内部は水族館、外壁はロッククライミングに使用されています。 戦後60年の世界の戦争の遺物は、今27歳の下道さんの目に不思議な構築物と写り、明るい陽射しと子供の嬌声が響く平和な風景の中で、コンクリートと弾痕の重みを湛えて存在しています。 今展ではスケールの感じられる1〜2m四方の写真23点でご覧頂きます。 |
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