横内賢太郎 展 -滲む筆致 揺れるドローイング-
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横内さんの作品は水彩のように滲んだタッチが特徴的な油彩です。モチーフは開いた写真集や画集の1ページ。カラフルなマイセンやウエッジウッドのお皿や有田焼の大壺が描かれているようなのですが、開いたページに光が反射している様が薄墨色の影に塗られ、植物文様もゆらゆらとした曲線で、水槽越しに見ているようです。瞬きをした瞬間、ストップモーションで瞳が外部を認識できるとしたら、こういう風景なのではないかと思わせる独特の視覚世界です。 多湿な気候の日本の風景は、水墨画や水彩画といった水分を多く含んだ描写方法で巧に描かれてきました。横内さんは、織物や洋食器といったヨーロッパ文化の感じられるモチーフをその技法で描きながら、色彩が滲み光が跳ね回り、画面にあるものが動いているかのようにとらえています。かつての印象派が得たような感覚が、圧倒的な視覚の容量を増して現代に甦ったようです。 窓から見える空や雲、真っ白なベッドリネン、テーブルの上の切ったばかりのオレンジの滴るような空気感など、私的な日記や日常生活の一瞬を拡大して描くことも、昨今に多いスタイルですが、横内さんの作品は、モチーフに類似点をもちながら、何層もの空間感や遥かという時間感覚、水中や宇宙の重力の中にある作家自身の感覚が描かれています。横内さんの作品からは、万華鏡のようなまばゆさと、瞬時にかたちを変えてしまう風の流れなどの記憶の感触が伝わって来ます。 |
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