今年４月愛知県常滑市の｢ INAX世界のタイル博物館 ｣の企画展示室で開催された｢やきもの新感覚シリーズ｣での八木明さんの個展は、漆色の磁土と石と木片による造形作品でした。
INAXギャラリー2では、うつわと呼ばれる一群をご覧いただきます。

現代美術の表現を企画し続けているINAXギャラリー2においては、実験的な試みのように感じられると思いますが、磁土や石や木片で構成された造形作品と、球体や杯のかたちは八木さんの表現として分かちがたくどちらも魅力的です。無意識にオブジェと呼んでしまい、何気なくうつわと呼び習わしてしまう私たちの感覚をリセットする試みをしたい、その思いをかなえたのが今展です。

八木明(やぎあきら)さんの青白磁のうつわは、うつわといっても球体形の蓋ものが直径3mmから始まる18組の入れ子になっていたり、杯が尖塔のように円錐状に数十個積み上げられていたりします。幾何形の構成は張りつめて美しく、つややかに光る球体や杯や片口の、遠近の序列で弧をえがく軌跡には息をのみます。香炉や香合と呼ばれるものも、腰をひねってポーズをきめたり、膨らんだスカートを身にまとったダンサーのようにしゃっきと立っています。

不思議で謎めいた道具のような趣き、やわらかにはりつめる緊張感とときには鈴の音を聞くような静けさを感じさせてくれる圧倒的な存在感をごらんください。

日時：オープニング当日 6月1日(木)18時〜19時
(終了しています)
ギャラリーカフェ(ギャラリー2会場同フロア)にて
入場無料、先着20名(予約不要)