東京オペラシティは高層のオフィス棟をランドマークに、コンサートホール、新国立劇場や美術館、レストランなどの商業施設から成る大型複合施設です。
開放的な円形広場サンクンガーデンを囲むように、国内外の現代美術企画展などを行なう東京オペラシティアートギャラリーがあり、この3階エントランスに面して、今回ご紹介するgallery5(ギャラリーファイブ)があります。美術系書籍、ミュージアムグッズなど雑貨、現代音楽CDなどを扱う、建築・美術を志す若い世代に人気の知る人ぞ知るお店です。1999年9月9日のオープンから間もなく一年を迎えます。

お店中央の四角いガラス空間は、4つの展示室を持つアートギャラリーの「5番目の展示室」であり、gallery5という店名の由来でもあります。 店内にはアートギャラリー展覧会カタログのほか、出品作家の海外での展覧会カタログやオリジナルグッズなどもディスプレイされ、販売されています。
MoMAなど海外のミュージアムグッズを扱う店は今日では珍しくありませんが、こちらのお店の品揃えは別格で、内容も不定期に変わります。国内外の新進若手作家、明和電機などのオリジナルグッズなどのほか、ニューヨークやヨーロッパから買い付けてくるという、アクセサリー、カップ、バッグ、ポストカード、パズル、ランプ・・・など、珍しい雑貨の数々がそこかしこに置かれています。
商品には仕入れた国名や使い方などを説明した親切なプレートが付いていて、読むにつれ、思わず欲しくなります。数に限りがあるので人気の高いものはすぐ売り切れてしまい、中でも、インテリアとしても美しい、画家イヴ・クラインの「クライン・ブルー」と称される「青」を再現した顔料は、販売用の容器が不足するほどのヒット商品です。

オペラシティ内にはタケミツメモリアルなどコンサートホールがあり、店内には国内外の現代音楽のCDも置かれ、視聴コーナーもあります。 「ドイツ、ロシア語などがわからなくても選びやすいように」と日本語でタイトルが手書きされたベージュの紙が美しく並ぶこの棚からも細やかな配慮が伺えます。また音楽批評紙「ブリーズ」も置かれています。

また上階には、マルチメディア・アートを紹介するNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)もあり、そこから流れてくるお客さんも多いそうです。

書籍は海外の展覧会カタログや作品集、洋雑誌など、和書は美術・作品論、建築、思想、デジタルなどの批評、関連文献、美術手帳バックナンバーなどが置かれています。建物を見に来る学生さんが多いのか、建築書が意外に良く売れます。
INAX出版の本は全点はありませんが、10+1(TenPlusOne)や叢書などが置かれ、好調です。

お客様は学生や20〜30代の若い世代が中心です。遅くまで開館しているので、会社帰りにふらっと立ち寄り、一人でゆったりとした時間を味わっていく女性も多いそうです。土日はデートコースとして利用するカップルの姿も見かけます。
お話を伺った店長さんによると、最近はリピーターのお客様も増えてきたそうです。「変化に富んだ有機的な店として、今後は目の肥えてきたお客様に飽きられないような品揃えを心がけている。できればもっとマニアックでディープなモノも置きたいのですが」とのことです。