スペインで生まれた土と火の結晶、マジョリカ・タイルはイベリア半島を長い間支配してきたイスラム教徒・ムーア人の手によって焼かれたものといわれています。 イスラム文化の影響を強く受けて誕生したマジョリカ・タイルの歴史はそのままタイル技術革新の歴史であると同時に、タイルの美の変遷の歴史でもありました。 マジョリカ・タイルの多様さは、そのままタイルの歴史の多様さを表しているといえるでしょう。
今回の企画は、スペインのマジョリカ・タイルを中心に、イタリア、オランダ、ポルトガル、イギリス、日本などのタイルを展示し、イベリア半島における8世紀から始まったイスラム支配の700年間、また15世紀末のスペイン王国樹立前後から19世紀までの歴史年表をもとに、地図とあわせて、マジョリカ・タイルのルーツをわかりやすく解読してみようという試みです。
展示されるタイルは全て、過去のタイル展でもおなじみのタイル研究科・山本正之氏のコレクションです。 山本氏は今までに何回もスペインやアラビア半島、北アフリカを訪れ、このタイルのルーツを目のあたりにしてこられました。 その何年かの集積が今回の「マジョリカ・タイル展」となりました。
その特徴、製法等のうつり変わり、世界のタイル産業への影響･･･。マジョリカ・タイルの全容にせまる日本で最初の展覧会といえましょう。
どうぞ、タイルの年月を経た風格ある肌合に目で触れてみて下さい。そして、太陽の国スペインで育まれた"イベリアのきらめき"を心ゆくまで味わって頂ければさいわいです。

監修/山本正之

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