花から花へ蜜を求めて翔ぶミツバチ、ハチの中でもっとも大きく攻撃的で毒性も高いスズメバチ。蜂蜜はもとよりミツバチの産み出す蜂ろうはさまざまな工業製品に使われています。
人間にとって害虫とみなされるスズメバチも、地域によっては分限者バチと呼ばれて大切にされたり、害虫の天敵として保護されたりしています。
古来より人間と関わりの深いこの2種類のハチは集団で社会生活を営むことで知られていますが、ハチの仲間には単独で生活を営む種類も数多く存在します。
また、集団生活と単独生活をするハチの双方に、狩りをする肉食性のもの、花粉や蜜を食糧とするベジタリアンがみられ、その社会は複雑に分化しています。 そして、これらのハチたちはその種類の数だけ変化に富んだ巣づくりをしているのです。

泥をこねて壷をつくる陶芸家、 器用に壁塗りをする左官職、 葉を繋ぎ合わせる仕立て職人、 高層住宅をつくる建築家、 精緻な六角形をつくる幾何学者、 美しい外壁模様を描く装飾家・・・。 巣の造形に卓越したセンスを発揮するハチたちは、家づくりの巧みな職人そしてデザイナー。
本展では、さまざまな材料と手法を用いてつくられた各種のハチの巣を通して、それぞれのハチの生態に深くかかわるその構造や建築技法を紹介したいと思います。 巨大な、あるいは小さな巣の一つ一つに秘められた驚くべきシステム、建築にも科学にも環境にも応用できるさまざまなヒントがそこには隠されているはずです。

展示にあたっては静岡大学教授・杉山恵一先生をはじめ、関係の皆様方に多大なるご協力とご指導をいただきました。
この場を借りてあつく御礼申し上げます

INAXギャラリー

■ 展示品リスト
展示品を解かり易く紹介。研究機関へのリンクも併載