gallery

蜂は職人・デザイナー

解 説

ミツバチに関連するQ&A、ミツバチ関連の組織・研究機関へのリンクも併載。


泥をこねて壷をつくる陶芸家
ドロバチ,トックリバチ,ベッコウバチの巣

トックリバチ:自分の体を轆轤にして、胴の上に首がありその上に襟をもつ壷をつくる単独性のハチ。
材料となる乾いた土に唾を混ぜ粘性をもたせた土で壷をつくると、ハチはその口に腹部の先端を挿入して一個の卵を産み付ける。産卵の後、ハチは毒で麻痺させた青虫を運んで壷の口から入れる。襟がじょうごの役割を果たし、細長い首は寄生虫やアリなどの侵入を防ぐのに役立つ。卵から孵った幼虫は親がため込んだ10匹程度の青虫を食べて成長する。

:ドロバチ,トックリバチ,ベッコウバチの巣(写真提供:大西成明)





器用に壁塗りをする左官職

ドロバチ:竹筒を泥壁で仕切って壷の代用にする。乾いた土に唾を混ぜてつくる壁の外側には念入りに唾を施す。外側は平滑でやや窪み、反対の内側はやや凸形になっているため、卵から孵った幼虫は羽化後の脱出口を壁の感触によって感知することができる。

ジガバチ:巣の材料は湿った土。雨水のあたらない石や岩の間に営巣する。泥のトンネルをつくるが、最初につくった巣とぴったり寄せて平行に3つぐらいの巣をつくり、4つ目ぐらいからは上に重ねて二段から三段に並べる。最後にその全体の上から土を塗り重ねトーチカのような土塊とする。


葉を繋ぎ合わせる仕立て職人

ハキリバチ:バラなどの葉を丸く切り取り、その葉片十数枚をたがねてコップ状のまるで葉巻のような巣をつくる。その中に花粉と蜜を練ってつくった餡のようなものを貯えて幼虫の餌とする。こうしてつくった巣は竹筒の中などに一列に並べていくことが多い。


高層住宅をつくる建築家

スズメバチ:朽ちた木材を噛み砕いてチップ状とし、それに唾液を混ぜてパルプ状にしたものを巣盤の材料にして巣をつくる。円形の巣盤はハチの増加に伴い幾層にも重ねられ、高層住宅のようになる。巣盤と巣盤の間を繋ぐ柱は振動に強いねじれ構造をもつ。巣盤を覆う外被は、生きた樹皮からつくられる。
外被の複雑に重なり合う空気室は、暖かい空気を逃がさない空調の役目を果たす。

美しい外壁模様を描く装飾家

スズメバチ:天敵から身を守るため、巣内を保温するために、スズメバチは巣全体をすっぽりと覆う外被をつくる。この外被は、ハチの種類によって形・色・模様が異なり、さまざまな造形美を産み出している。
巣材によって、白・グレー・茶色の濃淡などがあり、うろこ模様や縞模様を構成する。何匹もの働きバチがそれぞれ違う場所から集めてきた材料を噛み砕いて唾液を混ぜ、それを引き伸ばして美しい濃淡のグラデーションがつくりだされる。

精緻な六角形をつくる幾何学者

ミツバチ:セイヨウミツバチは体内から分泌した薄いろう片を材料に、六角柱を集めた巣房をつくる。
巣房は裏表が半分ずつ互い違いに規則的に組み合わされていて、底部は3つの菱形で構成された三角錐になっている。この三角錐は研究者の名前をとって「マラルディのピラミッド」とよばれる。菱形の角度は、ろうの消費量を最少にできる理想的な数値であり、このことからミツバチが定規もコンパスもなしに立体幾何学上の問題を解決していることがわかる。


関連LINK

奥本大三郎のファーブル入門
http://www.wnn.or.jp/wnn-x/okumoto/fabre/fabre.html
ファーブル昆虫記の訳者であり、BOOKLETの著者でもある奥本氏がジガバチ他を紹介。

展覧会 TOP PAGE 展示品リスト 図録・BOOKLET 関連書フェア




INAX CULTURE INFORMATION
http://www.inax.co.jp/Culture/culture.html

ギャラリーへのご意見、ご感想、お問い合わせ等はこちら
E-mail:xbn@i2.inax.co.jp

本ウェブサイトからの無断転載を禁じます

symbol
 Copyright(C) INAX Corporation
 http://www.inax.co.jp