土佐・物部村 神々のかたち
解 説
会場では4人の太夫さんに切っていただいた90点以上の御幣と、
神楽舞に被る五色の綾笠、祈念の弓などを祈祷の場を再現してご覧いただきます。
定規も使わず和鋼のみで御幣をきる | 「みてぐら」の台をつくる | 「恵比寿の幣」をつくる |
【いざなぎ流】
高知県香美郡物部村に伝えられている民間信仰。陰陽道(おんみょうどう)・修験道・仏教・神道などが混淆して成立したといわれ、この地域に住む太夫(たゆう)とよばれる宗教者たちによって、師子相伝の形で伝承されている。 いざなぎ流にはいつでも礼拝することのできる恒久的な神像や仏像のたぐいがなく、祭儀になると和紙を切って御幣をつくり、神格の像としてまつる。 御幣は200種類以上もあり、まつるべき神格が多いことを窺わせる。 |
【日月祭】
いざなぎ流の祭りで、現在、もっとも盛大に行われる儀礼が日月祭である。 日月祭は、家の神の祭りや神社の氏神祭りの折に行われるが、これらの祭りはほかの家の神、氏神をすべてまつらなければならないので、およそ1週間がかりの大祭となる。 そのクライマックスとなる日月祭は誰が参加してもいいことになっていて、さまざまな踊りも行われ、村人の愉しみともなっている。 日月祭には、三日月、十七夜、二十三夜の3種があり、どの神をまつるかは、家あるいは神社によって決まっており、それぞれ旧暦のその月の出をまつり、併せてお日様も拝む。 最近では、平成11年3月1日から4日まで、物部村市宇(いちう)集落の十二所神社で執り行われた。 |
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日月祭の幣 左から、月待ちの幣、水天宮の幣、日待ちの幣 |
【山の神の大シバつなぎ】
(写真右奥)
いざなぎ流の祭壇の基本形態である三階棚の上に飾る御幣で、下端を蜘蛛の巣をはったように四方にひろげて飾る。
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【祭文(さいもん)】
神の由来や素性、出来事の起こりを物語風に語る、「神話」に相当するもの。 太夫がまず憶えなければならない祭文は、「いざなぎの祭文」「山の神の祭文」「大土公(だいどっくう)の祭文」「地神(ぢじん)の祭文」「荒神(こうじん)の祭文」「恵比寿の祭文」「水神の祭文」の7通りである。これに「呪詛の祭文」「天神の祭文」を加えたのが基本的な祭文である。 |
【高知県香美(かみ)郡 物部村】
高知県の東北部に位置する物部村の起源は平安時代以前といわれ、平家落人の子孫がこの地方の豪族として栄えた。 戦国時代の長宗我部氏の支配を経て、1600年からは山内氏の藩政時代が続き、明治に入ってから上韮生(かみにろう)村と槇山村の2つの村が生まれた。この2村が昭和31年合併して物部村となり現在に至る。 物部村全体は奥物部県立公園、東北端の山岳渓谷地域は剣山国定公園である。 また「いざなぎ流ご祈祷」は昭和55年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。 参考資料:物部村村勢要覧 |
■ 関連リンク ■
■ 高知県立歴史民俗資料館 http://www2.net-kochi.gr.jp/~kenbunka/rekimin/
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