甲斐すみ子 展 -プランツ・シューズ- |
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甲斐さんの作品は生花でつくった靴を撮影した写真です。今展ではみずみずしく咲き誇ったミモザや桜、マロニエ、たんぽぽ、アカシア、あじさいなどでつくられた靴と、やがて自然に枯れた時の姿との組写真数十点を展示します。また、季節のレンギョウなどでできた実際の靴も数点展示します。 制作方法はまず、針金と藁で自分の足型をとり、そこに季節ごとに咲く野の花や木々の花々を摘み、靴のかたちを制作します。できたての姿と自然に枯れた時の姿の2回撮影します。生まれたばかりの花の靴の写真は、もぎたてのフルーツのように瑞々しくふっくらとし、色鮮やかで、芳しく匂い立つようです。そして、時が経つに連れて水分が蒸発し、乾燥して縮れ、時には青黒く変色した花の靴の写真が対比されます。 甲斐さんは長い間日本でイラストレーションや木版画の仕事をしてきましたが、1992年にパリに移住し、1997年に初めて花で靴を制作、この8年間に250枚の写真が生まれました。靴、花という二つの言葉が寓意する世界は広いものですが、甲斐さんにとって、靴とは前へ進む時の流れを意味します。一歩を示す一つの靴に一種類の花を使用して、「新しい一歩は咲く花のように新鮮」と語ります。私たちは枯れた花の靴に、一瞬の儚さ、まるで一緒に旅してきた片身のような哀切を憶えると同時に、咲き誇る新しい花に目を奪われずにいられません。パリでは、聖書の言葉を引用して「花がその人の足の下に咲き始めた」と例えられました。作品を見る私たちはそれぞれにどのような「花咲ける足跡を残す」のでしょうか。 |
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