藤井浩一朗(ふじいこういちろう)さんの作品は、鉄線をカンバスに刺して画面構成をした平面です。白やグレーに塗られたカンバスにおびただしい量のM型につくった鉄線が刺してあり、小さな鉄線が密集した作品は、鉄線のかたちとその影がつくるイリュージョンによって、シベリアの白い原野を走る野生動物の群れや雨降りの大きな広場に置かれたたくさんのベンチなどに見え、たくさんのシーンがイメージされます。分類すると「鳥瞰的絵画」と呼べそうな、不思議な美しさを湛えています。 藤井さんは東京造形大学彫刻科の出身で、鉄を手で溶断してつくる樹皮のようなテクスチャーが特徴の大きな立体作品によって、これまでに1992年東京野外現代彫刻展大賞を始め多くの受賞歴があります。その藤井さんが今度は平面作品をつくるようになりました。 作品は一見「出たとこ勝負」で一気に構成されたように見えますが、飽きるほどのデッサンの末にモデルがつくられ、大量の鉄線のかたちを作りためたのち、裏から穴を開け、ようやくカンバスにに取り付けられていくという、手間のかかった作業と計算のうえに成り立っています。この事は鉄の作品でも同様でした。樹皮に似たテクスチャーを得るために、鉄を機械を使わずわざわざ手で溶断する、「孤独で音のないコスモスにいる」ような長い長い作業工程が必要だったそうです。 プリミティブで大空を気持ちよく飛んでいる感覚、さっと描いた一筆描きのようなシンプルさ、藤井さんの作品を見ていると、そこに長い時間が流れていることなど知る由もなく、ただリラックスしてきます。 |
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1963 大阪府生まれ 1988 東京造形大学美術学科彫刻卒業 1990 同研究室修了 1997〜8 (財)ポーラ美術振興財団在外研修員としてニューヨーク滞在
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