INAX GALLERY 2

2001年1月のINAXギャラリ−2 Art&News
山口勝弘 展
− ドラゴン・ストリーム −

会期:2001年1月5日(金)〜1月27日(土)
休館日:日曜・祝日

Art Newsは、ギャラリー2の展覧会カタログです。ここに掲載論文を御紹介します。



山口龍あらわる

中原佑介(美術評論家)

山口勝弘さんは一昨年末に、台湾の台北市第二美術館のために作品『龍』完成させたといいます。
(この美術館は1920年に台北駅の近くに建てられた日本人向けの小学校の旧校舎を修復して転用するものだったのですが、その後その運用方法と利用目的が問題となり、現在まだ開館の運びになっていないそうです。 したがって、山口さんの作品も公開されていないとのこと。) 写真で見ると、曲がりくねった七色の円筒が天井から交錯するように吊り下げられていて、その形態が「龍」というタイトルの根拠になったのでしょう。 それはいわゆる量塊的な作品ではなく、天井の全面にひろがる空間的な作品です。 そしてそれらの色鮮やかな円筒には音響と映像のシステムが組み込まれているといいます。

山口さんの今回のINAXギャラリーでの個展の作品は、この『龍』のヴァリアントといっていいようです。 制作は台北が先でしたが、ひとびとの目に触れるのは、この東京版が先ということになります。 といって私はこの東京版のほうもこの文章を書いている段階では見ていないので、台北版の写真と今度の個展の計画図から想像と推測する以外にないのですが、この東京版では円筒に映像システムが組み込まれるのではなく、壁面に設置された鏡、画廊を区切るスクリーン、それにパソコンという三つの映像装置が参加するそうです。
それら全体のうみだす効果は、この空間のなかに入ってみないと体験できないというほかありません。

会場写真

天井から吊り下げられた「龍」のような形態というのは、この山口さんにとっては始めてといっていいように思いますが、しかし、空間と映像というのはこの美術家が一貫して関心を抱き、それと取り組んできた問題です。空間といい映像といい、一言でいえば「手応えのないもの」に着目し、それを美術の根本に据えることを試みてきたといっていい。 多分、その点でこの国では山口勝弘は我が道をひとりゆくといったおもむきがありました。 たとえば、流行の物体のインスタレーションというのは「手応えのあるもの」を前提にした作品群です。
この『龍』東京版では台北版の映像も取り入れられ、どうやら入れ子構造にもなっているふうです。
それはまた遠くはなれた二つの空間を交錯させ、接続させるひとつの試みと見ることもできます。 今回の新機軸といっていいでしょう。
「龍」を主題にして花火や火薬でその形態をあらわした作品を発表しているのは、中国生まれの蔡国強さんです。 今や蔡龍と山口龍の双龍あらわる。対決やいかに!



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