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月と建築

会場写真
手前 : 桂離宮の配置と月の模型

スリー、ツゥー、ワン…。ゴォーという大音響とともに地球を飛び立ったアポロ11号が、1969年ついに月面着陸に成功しました。20世紀を一行で語るとしたら、それは「月に到達した世紀」と語りたいできごとでした。やわらかい光を放ちながら、長いあいだ神秘として存在していた月は、それから30数年の間、科学のめざましい進歩とともに、次第にそのベールを脱ぐことになりましたが、私たちから最も近いこの天体は、依然としてやわらかな光で、万物を照らし続けています。

赤々とエネルギーを発する太陽に対して、月はさえざえと白光し、日々かたちを変化させるために、強い神秘性をもって語られてきました。古今東西、月の満ち欠けで時間をはかり、暦や占星術が発達し、神話や伝説も生まれました。さらに、月の引力による潮の満ち干は漁業に、また出産や死のイメージにも重なって、日々の生活習慣の中に脈々と生き続けています。

本展は、このように私たちの生命や生活に深く根差している月の存在と、人間が暮らしてきた「建築」との関わりを見つめ直します。人工光の発明まで、人類の夜は闇と月の満ち欠けのリズムで過ぎていきました。なかでも日本人は月に深い思いを寄せてきました。「かぐや姫」伝説をはじめとして、詩歌に詠まれ、四季おりおりの月の呼び名をもち、いたるところに月にちなんだ地名をみることができます。 西欧では、月は狂気を意味するルナティック(ルナ=月の形容詞)のようなイメージで語られることもありますが、私たちの国の「月を愛でる」情熱は、観月を意識した建築や装置の多さにもあらわれています。
例えば、桂離宮には月見台や月波楼など月にちなんだものが多く、また銀閣寺にも向月台や屋内に反射光をもたらす銀砂灘があるなど、日本人は月を観ることを、建築の重要な要素として捉えていたようです。

会場では、観月建築と考えられる桂離宮が、具体的にどのように観月を意識して建造されたのかを模型を中心にご紹介し、あわせて現代につくられた月を意識した建築などをご覧いただきます。会場構成では、多くの著書をもち、桂離宮、銀閣などを新たな視点で解明してきた宮元健次氏 (庭園史・庭園デザイン) にも多くのご教示を賜りました。電灯によって昼夜がつながってしまったいま、暗闇からやがて月が満ちてきて心ふるえた時代の感覚を、建築をとおして感じていただけましたら幸いです。どうぞごゆっくりご覧ください。
展示にあたり、宮元氏をはじめ、関係者の皆様には多大なご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

INAXギャラリー

会場写真
壁パネル : 関西国際空港旅客ターミナルビル写真他

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写真は東京会場のものです




桂離宮の配置と月の模型展示品リスト
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講演会記録(終了)
 東京 / 大阪 / 名古屋
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図録・BOOKLET『月と建築
 ・・・ INAX出版 刊行

関連書フェア記録 (終了)
 ・・・東京会場1F INAXブックギャラリーにて


巡回展会期
ギャラリー1 (東京) ギャラリー大阪 ギャラリー名古屋
2001年12月7日(金)〜
2002年2月23日(土)
2002年3月7日(木)〜
5月24日(金)
2002年6月6日(木)〜
8月23日(金)




INAXギャラリー 2001〜2002年展覧会記録




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