土泥礼讃
解説ページ
ここでは、会場で紹介している「土の利用」のいくつかを会場写真とともにご紹介します。
「土の利用」カテゴリー 1. 粘土に刻印された記録 2. 土泥と祭り 3. 日本の土壁 4. 泥の家 5. 埴染め 6. 現代建築「青森県立美術館(仮称)」 7. 新しい土のタイルと塗料 8. 20-21世紀の「土の利用」−新しいセラミック製品 |
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粘土に刻印された記録
■ もっとも古い文字とされているのは、紀元前3100年頃から古代メソポタミアで粘土板に記された 絵文字で、この絵文字がやがて楔型文字へと発展した。軟らかい粘土板にアシの茎を使ったペン で文字を刻み、それを乾燥させれば硬くなって形状が元に戻らない。粘土のもつ可塑性こそが、 文字の発展と文明の記録に大きな貢献を果たした。
左写真:古代エジプトのフュネラリーコーン |
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土泥と祭り
■ 田起こし、代かき、畔塗り、田植え・・・・・・機械化される前までの米づくりは、まさに泥との格闘であった。日本で水稲栽培が始まった紀元前400年頃から、機械が普及した昭和30年代まで、日本人はほとんどの年月を泥とともに働いてきた。こうした泥まみれの暮らしを彷彿とさせるのが、五穀豊穣を願う御田植え行事と併せて行われる、泥かぶりの祭りである。 写真左下:せっぺとべ(提供:日吉町役場) 写真右下:三ツ堀のどろ祭り(提供:野田市教育委員会) |
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日本の土壁
■ 『世評に高い京聚楽土は、京都付近に産出する粘土性の色土で、利休居士の居宅周辺の聚楽第と り壊し後の壁土が、強度や作業性、更に茶の湯のこころとする「和敬清寂」の侘び、さびの風合 いを最高に表現する壁として賞用され、それが草庵風茶席の普及と共に各地に使用され現在に至 っている。他に京の色土として稲荷、錆、九条、桃山などがあるが、どれも自然の色土として変 色、退色の恐れがなく、作業性や健康面もよくて、住居の顔たる壁面を飾る壁材として、最良の 材料である。』 −展覧会場での解説パネル「土壁とは」執筆:佐藤嘉一郎(佐藤左官工業所代表)より部分抜粋 右写真:京都の土壁、土壁の左官見本(INAXギャラリー展示より) |
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■ 泥の家 ■
『現在、世界の人口の約1/3の人達が、土の家に暮らしているそうです。そのうちの大部分の
人達は、身近に使える素材が土しかないなど、つまりこの人たちにとっては、土が生きていくた
めに必要不可欠な素材であり、まさに土とともに生活しているといえると思います。』 左写真:様々な泥の家(INAXギャラリー展示より) |
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埴染め
■ 『日本に古来よりある「泥染め」は、土の中にある鉄分などを媒染剤として車輪梅などの草木を 染めるものです。それに対し、土のみを使い、土が持つ色そのままを染めるということで「埴染 め」と命名しました。(中略) 「埴染め」は、一切の合成化学物質を用いず、土と水そして太陽の力を借りて染め上げています。 2ミクロン以下の粘土粒子が、繊維にイオン効果でまとわりつくように定着し染色されていると 考えられますが、詳細についての研究は今後の課題です。(中略) 土と繊維、あるいは紡ぎ方の相性により、発色の効果は色々ですが、邂逅に近い出会いはとき に素敵な表情を見せてくけます。(中略)』 −展覧会場での解説パネル「埴染めについて」執筆:田村和也(アトリエ テラ)より部分抜粋 右写真:埴染め(INAXギャラリー展示より) |
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現代建築「青森県立美術館(仮称)」
■ 詳しくは「10+1WEB」をご覧ください。 http://tenplusone.inax.co.jp/aomori/index.html 左写真:青森県立美術館模型(INAXギャラリー展示より) |
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新しい土のタイルと塗料
■ ■ CPタイル・CPブロック 土と紙を主要素材とし非燃焼で固めたもので、伝統的な左官技術と紙漉きの技術をヒントに、壁 床用、殖裁用タイルやプランターボックスなどとして開発された。自然の土壌に近い状態のため、 廃棄の際もそのまま土に戻すことができる。製作/田村和也、所蔵/アトリエ テラ ■ 土の塗料 様々な地方の土を塗料にしてラワンベニヤに布で刷り込むようにして塗り上げたもの。土の細か い粒子が木目の間に入り込み、砥の粉処理をしたような柔らかな肌触りになる。糊材としてミル クカゼインを使用。製作/田村和也、所蔵/アトリエ・テラ
アトリエ・テラのHP 右写真:CPタイル・CPブロック、土の塗料サンプル(INAXギャラリー展示より) |
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20-21世紀の「土の利用」−新しいセラミック製品
■ 伝統技法によるやきものからスタートしたセラミックスは、近代産業社会において、高圧電線に 使われる絶縁用の陶器などの工業製品として進化した。さらに今日では「ニューセラミックス」 と呼ばれ、バイオセラミックス、コンピュータの電子部品や光学用用品、セラミックセンサー、 生活部材などさまざまな用途として使用されるようになった。 |
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自動車用の排ガス浄化用ハニカムセラミックス
カオリン、タルクなどを原材料とする排気ガスの浄化装置。排ガスとの接触面積を大きくするた めハニカム構造となっている。セル密度が大きいほど接触面積が多い。 資料提供/日本ガイシ(株) 日本ガイシ株式会社のHP 左写真:自動車用の排ガス浄化用ハニカムセラミックス(INAXギャラリー展示より) |
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ピングリットアレイ
主としてコンピュータのMPUや通信機器等に使用されるASIC等の高機能ICチップを搭載 するパッケージ。 所蔵/日本特殊陶業(株)
日本特殊陶業株式会社のHP 左写真:ピングリットアレイ(INAXギャラリー展示より) |
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その他関連リンク
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■ 野外民族博物館リトルワールド
■ 京都府左官技能専修学校
■ 三信鉱工株式会社
■ コープケミカル株式会社
■ 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
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