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唐桑・海と森の大工 展
2004年9月3日(金)14:00〜  at.INAXギャラリー大阪

展覧会の初日、半世紀に渡って唐桑半島で541隻もの船をつくり続けてきた船大工棟梁・岩渕文雄さんによる「進水式」が大阪会場で賑やかに行われました。9ヶ月間という長い巡回展に出航するのは、ギャラリーの中央に据えられた「からくわ丸」。岩渕棟梁が、この展示の為に制作してくださった全長約6メートルの木造船です。
進水式とは、完成した船を初めて海に降ろす際の儀式です。今回はイベントのため略式としましたが、実際には以下のような形式で厳粛に行われます。

御神体と供え膳を用意する

進水式の前夜、棟梁は船魂という御神体をつくります。船魂は木製で、中に紙製の男女神、サイコロ2個(1と6を上に向ける。航海安全の意味がある)、五穀、月の数だけの古銭(現在は十円硬貨・閏年の時は13枚)が納められています。蓋には「申し上げます」という意味で「上」と書かれます。
供え膳として他に用意されるのは、塩、海水、神酒、五穀、月の数に切られた大根を枕にした尾頭付きの赤い魚(タイやタナゴなど)3匹、喜ぶの意を込めたこんぶ。この際、大根は葉がついたものでなければいけません。魚と船に塩を撒き、自身も舐めて身を清め、神酒を魚に振り掛けます。

棟梁1人で司祭をつとめる霊入れ

棟梁は丑三つ時の満ち潮を待ち、船神様に祈りを唱えて、御神体に霊を込めます。霊の入った御神体は親しみを込めて「船霊(ふなだま)さま」と呼ばれ、船の中に納められます。

朝を迎え、船は祝いを受けて出航する

翌朝、船主が来てお船霊さまに祈りを捧げ、いよいよ船を海へ降ろします。満艦飾で船を飾り、人が集まってきたところで船の上から紅白のもちを撒き、祝い酒を振舞います。船主は好きな演歌を大音量でかけながら、船を海に全速力で走らせ、長い幸せとよき航海の始まりとするのです。

唐桑・海と森の大工 展
当日、朝4時半起きで唐桑から大阪へ来てくださった岩渕棟梁。出来上がったブックレットを見て笑顔

唐桑・海と森の大工 展
スタッフ用の手ぬぐい。造船所から船主に、紅白もちとともに贈られる。今回は、棟梁とお孫さんの絵が息子さんの手で描かれました

唐桑・海と森の大工 展
前夜、棟梁がつくった船魂。既に蓋がされ、これから霊が込められます
唐桑・海と森の大工 展
入口近くには、大漁旗、棟梁を紹介するパネルを展示
唐桑・海と森の大工 展
船魂、供え膳の素材、紅白もち、お神酒などを用意します
唐桑・海と森の大工 展
平日昼ながら100名近いお客さまがいらしてくださいました
唐桑・海と森の大工 展
棟梁のはっぴは、吉川英治文化賞などのお祝いにご家族から贈られたそうです
唐桑・海と森の大工 展
船魂の説明をする棟梁。この後、会場のお客さまにヒノキ材の香りを嗅いでいただきました
唐桑・海と森の大工 展
船魂を船体に固定します
唐桑・海と森の大工 展
供え膳の準備。下に敷く半紙を山形に折っていきます
唐桑・海と森の大工 展
12個になるよう大根を切る。さすがにお手並鮮やかです

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